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人生のあり方(完全版)

by
ユウト
ユウト
オレの人生は最悪だった。


小さいことから、おとなしい子供として育った。
無口な性格で、人と話すことは少なかった。
話す相手といえば、幼稚園からの腐れ縁か、コンピュータのどちらか。
他の人間とは、ソリが合わず、苦痛でしかなかった。

その頃、中学校ではいつも、いじめの対象にされていた。
体格の大きなやつに、いつも殴られたり蹴られたり、酷いときは病院の世話になったこともあった。
学校が嫌いになり、人間が嫌いになり、ズル休みは増えていった。
性格はいびつに歪み、誰も彼も信頼しなくなってしまった。

なんとか社会人になっても、変わることはなかった。
人付き合いは絶望的で、誰とも上手くいかない。只々地獄だった。
めんどくさいことの繰り返し、つまらないことの繰り返しに、我慢できなくなってしまった。
信頼を失い、居場所も無くし、悔し涙をすすりながら辞表を出した。

仕事を無くした後、生きる意味も、生きるチカラも失った。
虚ろに彷徨い、目の光は消え、魂は抜けかけていた。
だからオレは、電車に飛び込んで死んでしまおうと思った。
しかし、そんなことすら出来なかった。


死にたがったのに、死ねなかった。
オレはなんてくだらない存在だと思っていたのに。
誰かこんなオレを消し去ってくれと願っていたのに。
只々、早く人生が終わるのを望んでいたはずなのに。

それでも、オレは確かに生きたがっていた。
ただ一つの生きがいを、まだ持っていたから。
それが「ゲーム」だった。
「ゲーム」だけが、唯一の生きがいだった。

機械と自分の身体があれば、それだけで十分だった。
誰にも邪魔されず、自分がやりたいことが出来る。
眼の前の記録を更新することだけに、歓びを見出していた。
誰からも裏切られない、自分だけの世界に浸っていた。

音楽ゲーム、レースゲーム、カードゲーム、とにかく好きなゲームを嗜んでいた。
ゲームだけは、誰にも負けないぐらい好きだった。
好きなゲームは、どんなものでもやった。
ただ一人で好きなだけやっていれば、当時はそれだけで良かった。


あの日が来るまでは。


5年前のある日、ゲームセンターで幼稚園からの腐れ縁に再開した。
しばらく顔を見ないうちに恰幅が良くなって、少し笑ってしまった。
腐れ縁のそいつは、あるゲームにハマっていた。
どんなものかと、それを後ろで見た。


それはもう、今は稼働していない「ぷよぷよ!!クエストアーケード」というゲーム。
そしてそこに映った、一人の女の子。
そして、その声。


「「いっきまーす!!」」


あの時の衝撃は、今でも忘れたことはない。
まるで、あれが一目惚れと言うのだろうかと思うような衝撃。
いや、一目惚れというにも物足りないような、思いきり突き動かされた感情に、一瞬にして支配された。

それが、アルルとのファーストコンタクト。
そしてオレは、アルルの虜になった。


その日以来、いつもぷよぷよのことを考えるようになった。
正確には、いつもアルルのことを考えるようになった。
寝ても覚めても、いつも考えるようになった。
人生の全てを、つぎ込むようになった。

腐れ縁の友人は、突然の変貌ぶりに唖然とした。
あまりの変わりように、悪いものでも食べたのかと心配した。
まるで人格が乗り代わったかのように、好きなものを好きだと主張し始めた。
たった一人のキャラクターが、何もかもを変えてしまった。

ぷよぷよ!!クエストを始め、一日の殆どの時間を費やし始めた。
理由は言わずもがな、アルルのカードが欲しかったから。
初めて手に入れた☆3のカードに、惜しみなく手間暇をつぎ込んだ。
まるで、アルルの存在が全てだと言わんばかりに。

それでもオレは、不安を抱えていた。
オレと同じ趣味を持つ人が居るのか、はたまたオレ一人だけじゃないのかと。
寝ても覚めても、拭い切ることができなかった。
不安は不安を呼び、されど確かめたくもなった。

そんなある日、オレはぷよぷよの大会が開催されることを知った。
公式が行うのではなく、ユーザー同士が集まって行うものだった。
人が集まるというのは、どう考えてもオレが苦手な場所だった。
だがそれでもオレは、その場所に行ってみることにした。

まるで何かが、オレの背中を押してくれたかのように。


その光景は凄まじかった。
動きが速い。迷いがない。打ち合い必至の真剣勝負。
全てが違う、その瞬間その刹那に巻き起こる芸術。
人と戦う。ぷよぷよで戦う。オレはその全てが刺激的だった。

熱が上がり、声が上がり、ヒートするテンション。
鼓動は高鳴り、汗が吹き出し、否が応でも興奮する。
どうしてこんなに、人とやるところを見るのが楽しいのだろうか。
どうしてこんなに、人のやるところを見るのが楽しいのだろうか。

だがオレが最も気になったのは、ステージの横で実況をしていた人だった。
ピンクのスーツを着込んで、的確な実況と分かりやすい解説をするという、負けず劣らずのインパクト。
あれは一体誰なんだと、オレの脳裏に深く焼き付いた。
普段、アルルにしか目のなかったオレが初めて興味を示した、謎の人物。

調べてみると、その人は20年前にぷよぷよで日本一になった人だった。
生ける伝説とも言うべき、生き字引的な存在だったのだ。
そんな凄い経歴を持つ人がこの世界には居るのかと、オレはびっくりした。
そしてオレは思った。オレもこの世界で生きてみたいと。


オレはその日以来、積極的に行動するようになった。
ツイッターで意見を発信するようになったり、ゲームセンターの対戦会も調べるようになった。
ぷよぷよの大会にも参加して、とにかく戦った。
初心者の壁にぶち当たり、最初は負けっぱなしで、何度も涙を流した。
それでもめげずに戦って、初めて勝つことが出来た。
笑顔になれたり、名前を呼んでもらえたのが、何より嬉しかった。

そのうち、オレにはハッキリとした目標が出来た。
オレは、この世界で頂点に立ちたい。
それは誰よりも、誰よりもぷよぷよがうまいやつだと言われたい。
この世界で、誰にも負けない存在になりたい。


しかしオレは、今その考えに対して、一つの岐路に立っている。
確かにオレは頂点に立ちたいと思った。それに間違いはない。
ならば、それを成し遂げるの一番良い方法は何だろうか。
そして、オレの考えるこの世界の頂点とは何か。

オレよりうまい人はたくさん居る。
今でこそ、プロぷよらーという概念が実在し、ぷよぷよでメシを食える人達もいる。
オレはその人達に勝った覚えがない。今まで負けた数を数えるほうが大変だろう。
果たして、オレが実力で頂点に立てるのかどうか、あまりにも怪しい。

今のオレは、憧れと恐れの間でせめぎ合っている。
大会で優勝すれば、一躍有名にだってなれるかもしれない。
プロになることが出来れば、同じようにぷよぷよでメシを食えるかもしれない。
しかし本当にそれが正しいことなのか。本当に自分はそう望んでいるのか。

気が遠くなりそうな努力をしなければならない。
人生の全てを懸けて行かなければならない。
プロはそうやって対価を得ているのでは無いだろうか。
それでも、本当にプロが全てなのだろうか。

プロでなくとも、プロを上回るアマチュアが居るかも知れないし、全く違う方法で有名になっている人もいる。
というより、そこまでして有名になる本当の理由とは何なのだろうか。
業界を盛り上げるため、夢を与えるため、様々な理由があるかもしれない。
だけどその理由が見つからない。本当に自分がどうしたいのか、分からない。


だが、オレはふと思った。
オレがそこまで考えるようになって、悩むようになったのは何故だろうか。
今まで一人ぼっちで生きてきた人間が、どうしていきなり人の世界に混ざるようになったのか。
どうしてオレが、ここまで真剣に生きるようになったのか。


そうだ、発火点は一つしかない。
アルルの虜になったこと、ただそれだけだった。
アルルのように、どんなときも納得できるようにやり遂げようとする。
なんともバカげた、それでも本気の理由だった。。


時間もお金も掛かったけど、全く後悔していない。
もっともっと、手間暇を惜しみたくない。
本当に好きなったものを、本気で極めたい。
あの時から、オレはそう覚悟したのだ。


ならば、オレはどうしたいのか。その理由は今、ハッキリと定まった。
オレと同じように、地獄を見て、人生を諦めかけている人たちに、その声を届けたい。
ほんの些細なキッカケで、人生一変することがあるのだと。
ほんの些細なキッカケで、人生を歩み直すことができるのだと。


己が信じた道は、堂々と歩いてほしい。
周りがなんと言おうと、譲れない道は譲らなくて良い。
己の人生は、己自身が決めることなのだと。
悔いのない人生を、どうか歩んでほしい。


一銭の価値にもならぬこの叫びで、人生を立ち直ってくれる者が一人でも現れればそれでいい。
偽善者と言われてもいい、ペテン師と言われてもいい。気持ち悪い奴だと思われてもいい。


アルルに救われた人間の、魂の叫び。
この叫びは、目の前のアナタにどう響くだろうか?





ユウトです。
ぷよキャンに一度出させてもらった内容に、私のありったけの思いを込めて、新しく作り直しました。
見返してみると、内容がかなり吹っ飛んでますけど、これも私というところです。


さて、皆さんは今の人生を楽しんでいらっしゃいますでしょうか?

「冒頭からわけの分からないポエムを流してその後に人生楽しんでいますかっておかしくないか?」と思われた方もいらっしゃるでしょうが、これは私が今まで生きてきた中で、私自身にいつも問いかけている言葉でもあります。

冒頭でぎょっとされた方もいらっしゃるかと思われますが、私の人生はとにかく荒んでおりました。「どうやって死のう…」と考えたこともありますが、それでも今まで生きてきたのは、心の何処かで拠り所を欲していたからなのかもしれません。
だからこそ、アルルに出会ったときの衝撃は忘れられませんでした。私の全てを持っていってしまうほどの可愛さに、生きる糧を見つけ出したのです。

「そんなものより、もっと大きな生きがいとかやりがいを見つけろ」と周りから言われたこともありますが、私にとっては、これが最も大きな生きがいなのです。
人から見れば、それはちっぽけなことかもしれません。ですがそれは、当の本人からすれば、とてつもなく大きなことになるのかもしれません。何を大切に思い、何に命をかけるかは、人それぞれなのです。
人生のあり方は、ちょっとした出来事で一変することがあります。ほんの些細な、大衆からすれば見向きもしない出来事が、地球上の何処かの誰かにとっては、人生の分岐点になると、私は考えています。

私の表現はかなり独特と言いますか、拙いところもあります。熱意だけで伝わらないこともあるかもしれません。ですが、今の私なりの表現として、もしどなたでもこの考えに共感していただけたのであれば、それは大変嬉しく思います。

ユウト(@Yuto_Puyo24)
更新日時:2018/09/15 00:27
(作成日時:2018/09/15 00:27)
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日記
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