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Number風にぷよぷよを語る。

by
横えび
横えび
稼働開始25年。
アーケード版ぷよぷよ、AC通の苦境。


対戦の場が、人が失われる。
 
 プロライセンス化。自宅対戦環境。国体eスポーツ。そしてセガのスタンス。
 ぷよぷよ競技化の土壌、青写真が整備されつつある一方で、その余録に浸れない者たちも確実に存在する。ぷよぷよ通稼動開始25周年の今秋、対戦台稼働店のうち津田沼エース対戦会は消滅(北習志野ファンファン対戦会へ移行)、ウェアハウス川崎と関西ぷよぷよ道場は閉店カウントダウンを宣言した。全国のゲームセンターは店舗数減少に歯止めがかからず、国内レジャートレンドの変化や消費税増税がこれにのしかかる。20年以上もの間、ぷよぷよ対戦メインストリームを歩み続けてきたアーケード版ぷよぷよは、かつてない苦境を迎えたと言っていいだろう。
 待望の新作、アーケード版ぷよぷよeスポーツは今春から稼動開始した。しかしながらコンシューマー版ぷよスポと比較すると機能不足(後述)は明らかで、ぷよぷよ通対戦拠点の中にはぷよスポAC非導入店舗も少なくない。店舗や対戦会運営者はインカムとノウハウを確保し増加させなければならないが、令和の進化はそれを許さない。

 これら諸々のギャップが店舗のぷよぷよ離れを、ビデオゲーム離れを、最終的には店舗そのものを手放していく。悪循環である。

ぷよぷよ通 一九九四~二〇一四 ― AC通の栄光と孤闘 ―





 2014年11月23日、コンテンツ文化史学会 2014年大会。
 ぷよぷよ通 一九九四~二〇一四  ― AC通の栄光と孤闘 ―


アーケード版ぷよぷよのコンセプト。

 ぷよぷよシリーズは必要最小限の機能のみをアーケード版に収録し、プラスアルファは後発の他機種版に搭載する伝統があった。ぷよぷよ黎明期からそれは徹底されており、ぷよぷよクエストアーケードやぷよぷよeスポーツアーケードでも踏襲されているようである。(以下は、上記画像発表時に記載した予稿文である。少々長いが、ご一読いただきたい)

 アーケード版初代ぷよぷよには、当時のパズルゲームにはない特徴があった。それは元祖ぷよぷよにあったエンドレスモード(とことんぷよぷよ)やミッションモード(なぞぷよ)を採用せず、対CPU戦(ひとりでぷよぷよ)及び対人戦(ふたりでぷよぷよ)モードのみを収録したことである。ぷよぷよ以前に落ち物パズルゲームの代表作と言われたテトリスやコラムスはエンドレスモードが、落ち物パズル誕生前に一世を風靡したロードランナーや上海は謎解きがメインであった。これらと比較すると、アーケード版初代ぷよぷよはバトル要素に特化していた、と言ってよい。
 また、回転ボタンを右のみにする(左回転の不採用)、対人戦のハンデ設定を排除するなど、他機種版の初代ぷよぷよと比較してもシンプルな仕様となった。当時爆発的人気を博し始め、1クレジット(コイン)を数分単位で回転させるのが望ましいとされる対戦格闘ゲームのコンセプトを考えれば、複雑な要素を極力排除したのは自然な発想だったかもしれない。


 リアルタイムで初代ぷよぷよからプレイしている身として、これは理解できる。しかし従前とは異なり、ぷよぷよeスポーツはコンシューマー版が先発、アーケード版は後発である。稼働前はアーケードならではの機能(団体戦・多人数プレイ・店舗ランキング・行脚スタンプ・オンラインイベントなどなど)、SEGA流の斬新なコンセプトを期待していたのだが、少なくとも現時点では実装される気配はない。稼働後に実施されたのは、バグ除去とマッチングの微調整くらいか。
 セガ店舗にてオンライン大会を開催するなりプロ参戦イベントを実施するなり、やりようはあるのではとも思えるのだが、今のところそのつもりはないようだ。古参アーケード勢にはそこが歯がゆく、さびしい。

 

インカムを稼ぐということ。
 
 身も蓋もない話ではあるがゲームセンターは娯楽提供による経済活動であり、コアゲーマーからいかにインカム(収入)を吸い上げるかが肝になる。稼働タイトル、特に対戦台として常設稼働する筐体は、一定以上のインカムが必要不可欠である。何名かの関係者と話をした際、「毎日とは言わないが、週に3日は連戦が発生して欲しい」と言われたことが何度かあった。それはすなわち、土日のみならず平日でも一定の集客がないと店はやっていけない、ということなのだろう。
 しかしながら、ぷよぷよは対戦格闘ゲームではない。現代はもちろんコンパイル時代でもそれをクリアできていたぷよぷよ対戦台はごく少数だったし、クリアできていたビデオゲームに強い店舗のほとんどは消滅してしまっている。店鋪名は省略するが、ある有名拠点の店主曰くガンダム対戦台が月100万円以上のインカムに対し、ぷよぷよシリーズはその50分の1前後に過ぎないそうである。インカムが確保できないなら、値上げか他タイトルか。シビアな話である。
 
かつてはぷよぷよ最強をACぷよ通で決めるという目的意識、モチベーションが存在した。これに代わる要素を、アーケード環境が産み出せるかどうか。著者もあれこれ考えてはみたのだが、有効な解決法はどうにも思いつかない。足を運ぶ時間のない社会人ガチ勢や元ガチ勢から、会員制スポーツクラブのように一定額を強制徴収するしかないのではと思われるが、客側にそこまでの鷹揚さを求めていいかどうか。プレイしなくていいから金だけ払え、あなたが店主なら言えますか?
 

一部拠点は健在だが……

 話を2019年秋に戻そう。手前味噌で恐縮だが、著者の現本拠地、金沢市のバイパスレジャーランド藤江本館では11月2日にぷよぷよ大会(第七回藤江杯)が開催される。同店は全国のレジャラングループ総本山(本社機能が藤江本館に存在、宿泊施設及び各種娯楽施設併設)であり、数少ない大規模店舗である。
 手堅い場を確保できていると言えるかもしれないが、話はそう単純ではない。運営側に余力があるということは、裏を返せば何かあれば他にとって代わられるという意味でもあるからだ。平日に藤江本館を訪れれば、すぐにわかる。2階ビデオゲームコーナーは、運営側の好意で残っているということが。先述の津田沼対戦会や5年前の旧サントロペ対戦会、ぷよぷよクエスト稼働店舗がそうだったように、店舗が生き残るためには時代に併せ変化するしかないのである。
 ここまでお読みくださった、辛抱強い皆様に申し上げたい。現在、全国でアーケード対戦会を運営しているメンバーや店舗は、近年のネガティブ要素をすべて呑み込んだ上で実施していること、それに足るだけの価値観を生み出し続けていることを。「行ければ行く」から少しだけ踏み込んで、「気になるし行ってみよう」と思っていただければ本当にありがたい。
 辛気臭い話の連続でかえってハードルが高くなってしまったかもしれないが、ほんの少しの勇気とちょっとした(?)出費で、誰でも気軽に楽しめるのは間違いない。
未知のゲームセンターに自らの足を運んでいただければ、それがご本人のみならず店舗や運営メンバーにとっても大きな励みとなることを、対戦現場にてご体感いただければ幸いである。
 
 
(ここから先は余談)
 小職の地元こと横浜駅西口五番街には、故・ゲームinセブンアイランド以外にもぷよぷよ通もしくはぷよぷよSUN対戦台稼働店がいくつかございました。すなわち90年代のパラダイスアレイ・JUMBO・タクトランド・アメリカングラフィティの四店でございます。
 タクトランドはセブンアイランドより少し前に、対戦台設置を断られてしまったことがございました。しかしながら同店はぷよぷよに愛着がなかったわけではなく、七島対戦台発足半年後に、1年弱ほどではございましたがぷよぷよSUN対戦台が稼働しておりました。98年のアイランド土曜会中にボヤ騒ぎが発生した際はタクトへ緊急避難し、ぷよ通仲良し台にて対戦会を継続したのは良い思い出でございます。
 残念ながら上記五店はいずれも時代の波に呑み込まれてしまいましたが、五番街では現在もセガパソピアードや西口タイトーステーションにてぷよぷよeスポーツアーケードが稼働中でございます。横浜へお越しの際は、七島跡地こと磯丸水産横浜五番街店ともども、是非お立ち寄りいただければ幸いでございます。
第七回藤江杯 藤江本館&ポスター
更新日時:2019/10/20 12:39
(作成日時:2019/10/19 22:44)
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