[概要]
先折りGTRの3手問題に関する私の記事(以下、本シリーズ)では、先折りGTRの土台手順について考察することが目的である。しかし、手順の体系化は非常に難しい。そこで、様々な具体例を通じて普遍的な思考を抽出し、逆にその思考を具体例に適応していく。
[序文]
2020年3月現在、ぷよぷよをプレイする人々は年々増えてきたように感じます。もっとぷよぷよをうまくなりたいという方も多く、私自身も多くの方々にぷよぷよをうまくなってもらい、その魅力を伝えていきたいと考えています。
さて、ぷよぷよを上達するにあたって、いくつかの関門があります。そのうちの1つに、「手順の体系化の困難さ」があります。これはぷよぷよが難しいとされている理由の一つでしょう。
ぷよぷよを学ぶ最初の時は、形を覚える必要があります。これはインターネットでいろいろ探していただけると、すぐに見つかると思います。(参考…私のオススメのサイトは、
http://alg-d.com/game/puyo/ です。(注1))しかし、それだけではダメなんです。
ぷよぷよがよりうまくなるためには、「手順」を覚えなければなりません。「手順」が違うとどうなるのか、「手順」の重要性について簡単な例を元に説明します。
上の2つの状況を比較してみましょう。1手目は同じ赤青で、2手目を変えています。どちらも先折りGTRを目指すとしましょう。この場合、1手目を置く場所が(図1)と(図2)で変わるのがわかりますか?正確に言うと、変えた方が効率良く置ける、です。「効率良く」というのは、ここでは「早くGTRの完成させることが出来る」と捉えておいてください。
(図1)の場合は問題なく、次の(図1-1)のように置きます。
しかし、(図2)の場合はどうでしょうか?もし仮に、この(図1-1)と同じ置き方をしてみると、次の(図2-1)のようになります。
なんとなく、青と赤の繋がりが途切れてしまっているのがわかるでしょうか。そこで、1手目は2列目に縦置き、2手目を1列目に縦置きするような手順を考えます。それが次の(図2-2)です。
(図2-2)の方が(図2-1)よりも青と赤の繋がりを保ちつつ、まとめていることがわかります。更に、GTRの完成も(図2-2)の方が早くなり、効率が良いことがわかるでしょう。なので、(図1)の場合の1手目は3列目に縦置きでいいのですが、(図2)の1手目は2列目に縦置きした方が良いことがわかりました。(注2)
このように、同じ形を目指す場合でも、似たような手順でも、ほんの少しの違いによって置き方を変えた方が良い場合もあります。この例を通じて、形だけではなく、手順に着目する意義が伝われば良いなと思います。
そして、この手順を体系的にまとめるのは非常に困難です。1手のツモのパターンは、対称的なものも含めて、16通りあります。対称的なものを除いても10通りあります。例えば5手の手順を全て網羅しようとすると、10^5=100000通りあります。これら全ての手順を考察するのはほぼ不可能に近いでしょう。(ぷよぷよeスポーツ(以下、ぷよスポ)なら圧倒的に少ない数で済みますが。(注3))
まとめると、本来、初心者がぷよぷよを学ぶべき順番というのは、
「ゲームのルールを覚える」→「有名な土台の形を覚える」→「手順を覚える」→「実際に組んでみる」
であると私は思っています(注4)。もちろん、一つずつ行動していくのではなく、時には前に戻ったりしながら、繰り返し、ゆっくり進んでいくでしょう。しかし、ここで問題となるのが、3番目の「手順を覚える」というところです。上述したように、手順を体系的にまとめるのはほぼ不可能。そのため、手順を体系的にまとめることは疎か、手順の考察すらあまりまとめられていません。
そこで、本シリーズでは、先折りGTRを組む際の、序盤における3手(現在手、ネクスト、ネクネク)の手順(置き方)を考察していきます。この3手の置き方の問題を「3手問題」と呼ぶことにします。問題と解答をただ並べるだけでは面白みに欠け、また、本シリーズの趣旨にそぐわないので、様々な
<Key Point>を交えながら、手順に対する解説を与えます。
<Key Point>とは、私自身が大事だと思った考え方のことです。「なぜそこに置いた方がいいのか?」といった疑問に対して、「この
<Key Point>を使うと、そこの方が良いんだよ!」と答えられれば良いなと考えています。体系的に手順をまとめることが難しいのであれば、「抽象的な考え方
<Key Point>を抜き出して、それを様々な具体例に適応させていけば良いのではないか?」と私は考えました。そして、この
<Key Point>をまとめていき、「手順の体系化」に近いようなまとめを試みたのが本シリーズとなっています。
また、この3手問題を実際に初心者の方々に解いてもらい、その解答を適宜掲載し、コメントしていこうと思っています。本記事ではまだありませんが、将来、その初心者の方々の意見なども載せていけたら良いなと考えています。
本シリーズでは、「
5連鎖を組んだことがあり、GTRを組んだことがある人」を対象としています(注5)。本記事のタイトルでは、「初心者向け」と書きましたが、本記事の内容が初心者向けかどうかは正直なところ、わかりません。また、「初心者」の定義も難しいので、定義しません。
ただ、とある初心者の方から「なぜそこに置くのか?理由が知りたい。」といった質問を受けたことがありました。その時、私が理由をなるべく簡単に説明すると、納得していただけた様子でした。「
ああ、初心者の方でもきちんと説明すればわかってくれる。数をこなしてもらう以外にも説明出来ることはある。」と私は思い、本記事の作成に取り掛かりました。そのような経緯もあり、本シリーズの内容を学ぶのが初心者にはまだ早い、とは私は思いません。
かなり長文の記事になっていますが、なるべく、
シンプルに、わかりやすく、楽しく、興味深く、真面目に、説明していきます。
(注1)…このサイトでも一部、手順考察がされています。ただ、このサイトだけでは例が足りないため、また、具体例から抽象的な思考を抜き出すために本シリーズはあります。
(注2)…もちろん、この後に来るツモ次第で(図2-2)ではなく(図2-1)のように置いた方が良い場合もありますし、別の考え方に従うと(図2-1)の置き方の方が良い場合もあります。ここでは、「GTRを早く完成させること」に着目した手順を考えています。
(注3)…本シリーズは実戦を踏まえた上での考察です。しかし、本シリーズではぷよスポの65536通りの配ぷよに限定せず、より多くの配ぷよを想定しています。そのため、ぷよスポでは出現しない配ぷよを用いて考察する場合があることをご了承ください。
(注4)…当たり前ではありますが、楽しくなければ続きません。これを順番通りにやるのが面白くないと感じる方は多々いると思いますが、順番通りでなくとも、全部やってみるのも楽しいと感じられるようになって頂けると幸いです。
(注5)…初心者がまず目指すべき場所は、「10連鎖を安定して打つこと」だと私は考えています。そのため、本シリーズの3手問題では、10連鎖を組むことが目的となります(ちょっと高めの目標です)。実戦では、「全消しを取るための手順」や「2ダブを作るための手順」など様々な手順があると思いますが、本シリーズではこのような手順は省いて、「本線をきちんと組むための手順」に焦点を当てていこうと思います。
[注意]
1)本シリーズの内容は全て私の考えです。世の中には色々な考え方があるので、そのうちの1つだと思ってください。
2)本シリーズは初心者向けの記事なので、序盤の手順に限定しています。また、3手問題では3手しか表示していません。もちろん、4手目以降に来るツモ次第で、3手の置き方が変わることは多々あります。4手目以降のツモに応じた3手の置き方の変化についても多少述べます。4手目がこの場合は3手目はこっちの方がいい、など。しかし、本シリーズで述べたいことはそのような細かい話ではなく、3手を通して得られる普遍的な内容です。今後、様々な3手問題を例に出していくと思います。その際に「前の記事にあった
<Key Point>がここでも出てきた!」のようなことが起きると思っております。
3)
<Key Point>自体が重要であることの理由については、1つだけに絞り込み、説明します。実際はいくつもの理由がありますが、初心者向けなので一番わかりやすく、難易度の低い(使いこなしやすい)理由のみ挙げます。他の理由については各自で考えてみると良いでしょう。私に言ってくれれば、何かしら返答いたします。
[謝辞]
本シリーズ作成にあたり、3手問題について一緒に考えてくださった
3名の初心者の方々、及び、
まいく様に厚く御礼申し上げ、感謝の意を表します。
[第1問目]
~~Qestion~~
この状況であなたはこの3手、どこに置きますか?
決めましたか?
では、私の答えにいきましょう。
~~My Answer~~
(図3)(青を寝かせる)か、(図4)(青を立てる)が良いと思います。
第1問から場合分けが出てしまってすみません><
~~Explanation~~
1、2手目について。
<Key Point①>
平らな形は組みやすい
この理由はほぼ明らかだと思います。
段差がなければ、制限が少なくなるため、自分の組みたい形を組める確率が上がります。
さて、この考え方に従うと、先折りGTRの連鎖尾の前半部分は次の2つのどちらかを目指すといいでしょう。
見た目的な理由から、(図5)を「L字型」、(図6)を「Y字型」と呼ぶことにします。たくさんの人がよく使う形なので、見た事が何度もあると思います。後でわかりますが、今回はL字型を目指します。
この2つの形の大きな利点は、平らになりやすいことです。次のように完成形をいくつか考えてみても、段差が少なく済むことがわかると思います。(図5)の完成形は(図7)、(図6)の完成形は(図8)、(図9)、(図10)などです。これら以外にも色々あると思いますが、よく使われるのはこの4つです。他の形については、
http://alg-d.com/game/puyo/ などを参照してください。
一方で、例えば、次のような鍵積みタイプの連鎖(図11)にすると、凸凹した形になって、組みづらくなります。 (もちろん解消方法もありますが)
なので、初心者の方はまず、L字型とY字型の形を組む練習をしてみると良いと思います。
<Key Point②>
序盤の連鎖作成の優先順位は『折り返し>連鎖尾』(先折りの場合)
連鎖尾と折り返しのどちらでも使えそうなツモが来た場合、折り返しを優先させましょう。このように考える理由は、とりあえず「
早くGTR部分を完成させて安心したいな」くらいで良いです。
そして、この考え方に基づくと、「
ダブはGTRで使おう!」と考えます。つまり、1、2手目の黄ダブか緑ダブのどちらかを1、2列目で寝かせて、GTRの完成を早めた方がいいです。
さて、次の疑問は「んじゃあ、1、2手目のどっちをGTRで使うの?」となります。
ここで、次のKey Point!!
<Key Point③>
序盤では、なるべく同じ色のぷよを繋げた方がいい(ただし4〜5連結程度で消えるように)
もちろん、連鎖がきちんと繋がるように、という前提は必要です。
さて、このKey Pointの理由を1つ挙げると、それは「
必要な色ぷよの数を減らすため」です。今回の例を元にこの理由を説明します。
例えば、(図12)のように、1手目の緑ダブを1、2列目で寝かせるとします。この場合、発火するまでに必要な緑ぷよの数は、5個です(紫色の丸で囲んだ部分)。
一方で、(図13)のように、4列目に緑ダブを縦で置いた場合の必要数は、最低1個です(同じく紫色の丸で囲んだ部分)。もちろん、(図13)では黄色が2つ必要にはなりますが、緑ぷよに注目しましょう。
この比較からわかるように、(図13)のように4列目に緑ダブを置いた方が緑の必要数が少ないです。(図12)のように置いたとして、更にもし仮に、この後に緑が全然来なくなってしまった場合、困ってしまうでしょう。
要は、色をバラけさせると、その色の必要数が増えちゃうってことです。なので、なるべく繋げましょう。
ということで、1手目は4列目縦置き、2手目は1、2列目横置きにすることが決まりました。また、今回の問題では、L字型を扱うことになりました。
3手目について。
今回はL字型を目指すため、3列目3段目に緑が1つ欲しいです。そのための3手目の置き方としては、3、4列目で横置きにするか、3列目で縦置きにするかです。が、ぶっちゃけ、これはその次のツモ次第になります。
もし仮に、青ダブか青緑のツモが来る場合は、3、4列目に横置き方がいいです。(図14)、(図15)のように置きます。
一方で、黄青か赤青が来る場合は、3列目縦置きが良いでしょう。(図16)、(図17)のように置きます。
どちらでもない場合も、やはりネクスト次第でこの一手は変わると思います。これに関しては各自でいろいろ考えてみると面白いでしょう。(宿題)
というわけで、この2つのうち、どちらかの形になれば良いと思います。
~~初心者の解答例~~
~(図18)に対するコメント~
あまり段差がなく、組みやすそうですね。
折り返しの部分では、青ダブか青赤が必須になっているのが少しツラいかもしれません。確率的には1/16+1/8=3/16なので、あまり高くないです。なので、折り返し部分で黄ダブを突っ込んだ方がいいかもしれないですね。
また、黄ダブを56で寝かせてるけど、完成形を見据えると、5縦の方がいいかもしれません。各自で考えてみましょう。(宿題)
~(図19)に対するコメント~
連鎖尾が鍵積みタイプで、わかりやすいですね。鍵積みは大事なので、こういった手順が出来ることは大切です。鍵積みタイプ以外の連鎖尾では、今回の
<Key Point①>で述べた2パターンの形を意識してみるとより良く成るでしょう。
[後書き]
お疲れ様でした。️ここまで読んでくださってありがとうございます。
今回は初回ということもあり、1問のみとさせていただきます。初っ端から場合分けがあるような問題を出してしまいましたが、(理論派)上級者の思考の一部分だけでもわかっていただけたら嬉しいです。
また、みなさんからの意見や質問は大募集しております。「わかりやすかった!」「こうしたらもっといいんじゃない?」「つまんなかった!」「読みづらかった!」などなどの感想も教えて頂けると幸いです。今後の攻略記事作成へのフィードバックとさせていただきます。
それでは、みなさん、良きぷよライフを。
p.s. 本記事で出したような初心者向け3手問題を募集します。ただ、全てを採用するわけではないことはご了承ください。何かしら初心者に教えたくなるような"意味"を持った問題は採用されやすいと思います。応募方法は、私のTwitterにDMでご連絡ください。
→
https://twitter.com/Saita_SAKI
p.s. 全く関係ない話ですが、スターになりました。よければ、バフ(応援)していただけると嬉しいです!
→
https://buffstar.jp/stars/SAKI
[参考文献]
・ぷよぷよ連鎖シミュレータ
http://www.puyop.com/s/
3手問題及び、ぷよ譜の作成に使わせていただきました。とても使い勝手が良く、いつも大変お世話になっております。
・壱大整域(ぷよぷよシリーズ)
http://alg-d.com/game/puyo/
初心者向けのぷよぷよ攻略サイトの一つとして挙げさせていただきました。実は、私がぷよぷよを最初に始めた時に利用したサイトで、大変お世話になりました。ぷよぷよを始めたばかりの人でもわかるように書かれている素晴らしいサイトです。