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昨夜、事件が起きた(最強リーグで今何が起こっているか)

by
いり@緑のぎるど
いり@緑のぎるど
(ひとりの、あまり強くもないエンジョイプレイヤーとして書きました。最強リーグに出場されるみなさまの誰とも直接の面識はありません。失礼ありましたらすみません。敬称略しました。ともかく、いま何が起きているか、ぷよらーでない方々にも伝えたくてあわてて筆をとりました。このドラマを伝えたい)


昨夜、事件が起きた。

マッキー 30 - 14 delta

ぷよぷよ最強リーグ、マッキーにとっての初戦。ぷよぷよe-sportsでのダブルスコアは完勝を意味する。久しぶりに姿を見せた「理解者」マッキーは、ほとんどの場面で完璧な立ち回りを見せ、「巨人の火力」deltaを圧倒した。この衝撃を知るには、deltaがどのくらい強いか説明しないとならない。

deltaはぷよぷよカップSEASON1ファイナルズの覇者、年間王者である。GTRという形から繰り出される大連鎖は、正確に14連鎖、15連鎖……と消え、対戦相手に一発ごとに絶望を刻む。彼は常に立ちはだかる届かない巨大な壁であった。
その彼が、つい2週間前ぷよぷよ最強リーグの初戦、レイン相手に突然GTRを捨てた。GTRは通常フィールドの左側から積まれていくが、彼のぷよは初手から右側へ飛んだ。
誰もが目を疑った。右へ行くぷよは左へ行くぷよより1マス長く動く。そのため思い通りの場所へ置くために震えるような大きな操作を必要とする。
それはぷよがうなりを上げているようだった。ふるえ、回転し、きれいに着地する。巨人の豪腕が豪快に見たこともない形を組んでいく。複雑極まりない連鎖は、それでも正確に消え、巨人の火力となって相手をねじふせた。
大巨人deltaは得体の知れない怪物に進化をとげていた。レインは攻撃の切れ味がぷよ界随一のプレイヤーだ。隙あらば一閃、音もなく相手の首を刈る。deltaのぷよはその鋭い攻撃をことごとくかいくぐった。すべてをかわし、無慈悲な一撃を叩き込んだ。すでにこの時点で異次元。
なのにマッキーのぷよはさらに高い次元にあるというのか……?

マッキーは、2019年度茨城国体優勝者。絶対的な実力者であったが、2020年3月、プロライセンスを更新せず静かにプロぷよらーを引退した。
それは勝者の孤独であったのか? すべてを理解した者のあきらめであったのか?
彼はtwitterなどで、まれではあったがぷよぷよe-sportsに対して不満を述べていた。おそらく彼はこのゲームに無視できない欠点があると思っている。
わかる人にはわかるという。しかしそれがわかるにはどれほどの高みまで登れば良いのか? マッキー自身と、他には同じくGTRを極める者であるmomokenくらいか? 凡人には知るよしもない。われわれは雲の上から聞こえる仙人の言葉ひとつにやきもきするしかない。
彼は久しぶりに表舞台へ帰ってきた。当然心配もあった。ブランクは長いはず。その間切磋琢磨していたプロ達の技術は長足の進歩を見せている。マッキーはGTRを極めているが、GTR対策も相当進んでいるはずだ。かつての絶対王者は果たしてまともに戦えるのか。
全く杞憂であった。しかし「理解者」の二つ名を与えられたマッキーが、あまりに圧勝したためかえって観る者の心は恐怖した。彼は頂点からどんな景色を見ているというのだ。

ぴぽにあの笑顔はいつだってぷよらーの憂いを吹き飛ばしてくれる。
2017年、ぷよぷよのいちばん苦しかった頃、ぷよぷよカップもまだなく、魂を焦がしてぶつかり合う場もなく、ぷよぷよの灯が消えかかっていたそのとき、彼は身を削っておいうリーグを立ち上げた。誰よりもぷよぷよが好きな男に精強なプレイヤーが集い、今日の隆盛につながっている。彼はぷよぷよの救済者だ。
彼は最強リーグに選抜された6人の中でただ一人、GTRを主な戦法としていない。「ちぎらないぷよ」という難題に一貫して取り組んできた彼の組み方は全く独特な、不思議な進化を遂げている。一見理解困難な彼の組み方は、ひょっとして「理解者」の理を超えるのではないかと淡い期待を抱かせる。
マッキーが優勝した茨城国体の決勝戦はマッキーvsぴぽにあであった。観戦者はぴぽにあの喜怒哀楽とシンクロした。敗れたぴぽにあの悔し涙はぷよらーの心に刺さった。もともと熱い男はさらに熱量を増し、ついにはプロぷよらー一本で食う男となり、2020年度はぷよぷよチャンピオンシップで優勝、準優勝、優勝、ファイナルズでも優勝し、プロの間で抜きん出た戦績をおさめた。
しかし、それだけではまだ「最強」には足りない。

ぴぽにあの熱は、ついにマッキーに届いた。天の岩屋の向こうから神が出てきた。「理解者」の頬はきっと、少しだけ緩んだのだ。

今夜、最強リーグ マッキー vs ぴぽにあ

どんな結果になろうと、それはすべて大事件だ。
ぴぽにあはすでにともくん--若さゆえの大胆な攻撃を失うことなく、緻密で老獪なベテランの技を身につけた、最強の一角を担うプレイヤー--を倒した。仕上がっている。
マッキー戦は、「勝機はある」と控えめに語る。あらゆる分析を経た冷静なコメントに、かえって燃えさかる闘志がにじむ。
国体の借りは返せるのか?
もがきつづけた男は「理解者」の裾をつかみ、地をなめさせることができるのか?
「ちぎらないぷよ」による小気味よいリズムと、「理」に裏打ちされた美しい組み、極まった全く違う2つの技のぶつかり合いは、きっとぷよぷよに新たな道を拓くだろう。

今夜、事件が起こる。

 
作成日時:2021/03/28 13:28
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