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【19日目】オールぷよラー感謝祭で出題した火力クイズを深掘りしてみよう!【ぷよラーアドカレ2025】

by
はなロア
はなロア
 【19日目】ぷよラーアドカレ2025


いきなりですが問題です。


【問題】

次の連鎖はどっちが大きいでしょう?

(1)2連鎖2色同時消し
(1連鎖目: 4連結 2連鎖目: 4連結と5連結)


(2)3連鎖シングル
(1連鎖目: 4連結 2連鎖目:5連結 3連鎖目: 4連結)




©SEGA
問題作成: Kake (戦技研)
(オールぷよラー感謝祭2025 第2部 第11問より)




こんにちは、はなロアと申します。

この度は、ぷよラーアドカレ2025の19日目の記事を担当させていただくこととなりました。


他の投稿者様の記事はこちらをご覧ください。
→(https://puyo-camp.jp/posts/192832)




本日は12月19日ということで、クリスマスまであと5日になりますね。もっというと、再来週にはもう2026年に突入します。
つい昨日まで「11月なのにまだ暑いよ」なんて嘆いてた気がするんですが、おかしいですね。

というかあれ、今ってこんなに寒かったっけ...?


11月といえばぷよぷよの学園祭が目白押しでした。


11/2 第15回早大ぷよマスターズ in 早稲田祭
11/23 新TOPofPUYO in 理大祭
11/24 2025年度京大NF in 京大11月祭



かくいう私も戦技研メンバーとして、早大ぷよマスターズの運営をしていました。
そして、本イベントでは午後のポイント大会の他に、

「オールぷよラー感謝祭」

というクイズ大会も開催していました。


そこで、得点比較クイズをいくつか出題していました。
上にあげた問題はそのうちの一つになります。



本記事ではこの問題を深掘りして行こうと思います。


目次の下に答えがあります。
みなさんも一度考えてみてください。






目次


1. 問題の答え

2. 問題の解説
      2-1. 得点計算の概要
      2-2. 実際の計算

3. 一般化その1 (連鎖数→n)

4. コーヒーブレイク(得点比較クイズ)
      4-1. 問題1
      4-2. 問
題2

5. 一般化その2 (連鎖数→m)
      5-1. 計算
      5-2. 具体例

7. おわりに







問題の答え

(1)の方が大きい。

(1)の2連鎖2色同時消しが1210点、(2)の3連鎖が1180点となります



ちなみにこの問題の会場での正答率は約72%でした。
結構難しいと思っていたので、この正答率はさすがぷよラーといったところでした。




問題の解説

この問題を悩ませるポイントは、みなさんがなんとなく持っているであろう

「同程度の数のぷよが消えるならば、連鎖が一つづつ消えた方が火力が高くなる」

という感覚です。

これはある程度大きい連鎖においては正しいのですが、
小さい連鎖では例外的にひっくり返るケースがあります。



今回の問題では

(1)の2連鎖目の大量消しの優位性 vs (2)の3連鎖目の優位性

の対決となっています。

小さい連鎖においては、連鎖ボーナスが小さいために、連鎖が多い分の優位性が低くなり、このような逆転が起きてしまうのです。


それでは、得点計算の方法を振り返りつつ、実際に計算をしていきましょう。




得点計算の概要

連鎖全体の得点は、各連鎖の得点の合計であり、次に従います。


各連鎖における得点: 10×①×(②+③+④)

①消したぷよの数
②連鎖ボーナス
③連結ボーナスの合計
④色数ボーナス

※②=③=④=0のときは②+③+④=1とする。


n連鎖目における連鎖ボーナスC(n)
n=1のとき、0
2≦n≦5のとき、2^(n+1)
n≧5のとき、32(n-3)

m連結における連結ボーナスL(m)
m=0で、0
5≦m≦10で、m-3
m≧11で10 

色数ボーナス
1色で0, 2色で3, 3色で6, 4色で12


詳細を知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
(https://puyo-camp.jp/posts/191916)



それでは実際に計算していきます。




実際の計算

(1)2連鎖2色同時消し

・1連鎖目
消えたぷよの数: 4
連鎖ボーナス: 0
連結ボーナス: 0
色数ボーナス: 0

40×1

・2連鎖目
消えたぷよの数: 9
連鎖ボーナス: 8
連結ボーナス: 2
色数ボーナス: 3

90×(8+2+3)=90×13

よって、(1)の得点は、
40×1+90×13=1210



©SEGA


(2)3連鎖シングル

・1連鎖目
消えたぷよの数: 4
連鎖ボーナス: 0
連結ボーナス: 0
色数ボーナス: 0

40×1

・2連鎖目
消えたぷよの数: 5
連鎖ボーナス: 8
連結ボーナス: 2
色数ボーナス: 0

50×(8+2+0)=50×10

・3連鎖目
消えたぷよの数: 4
連鎖ボーナス: 16
連結ボーナス: 0
色数ボーナス: 0

40×16

よって、(2)の得点は、
40×1+50×10+40×16=1180



©SEGA



したがって、1210>1180より、(1)の方が大きいことがわかる。



消えたぷよの数の合計が同じなのに、連鎖数が少ない方が強いという事実は面白いですよね。

最初に書いたように、小さい連鎖においてはこのような現象が起きるのです。


では、この文脈における「小さい連鎖」のラインがどこまでか気になりませんか?


例えば連鎖数を1つ増やした形

(1)3連鎖2色同時消し (3連鎖目: 5連結と4連結)

(2)4連鎖シングル (3連鎖目: 5連結, 4連鎖目: 4連結)





©SEGA


この2つでもダブルの方が大きいままなのでしょうか?
それとも入れ替わってシングルの方が大きくなるのでしょうか?



ということで、
全体の連鎖数をnとして一般化してみましょう。





一般化その1

考えていきたいのは次のような形になります。

(1)【*】→...→【*】→【5+4】
(2)【*】→...→【*】→【5】→【4】



つまり、問題設定としては


(1)n連鎖2色同時消し
(n連鎖目: 5連結と4連結)

(2)n+1連鎖シングル
(n連鎖目: 5連結, n+1連鎖目: 4連結)


この2つの連鎖の得点を比較せよ。
ただし、n-1連鎖目までの得点は等しいとする。



それでは実際に計算していきます。


(1)のn連鎖目で発生する得点をP(n)とする。

・(1)のn連鎖目の得点
消えたぷよの数: 9
連鎖ボーナス: C(n)
連結ボーナス: 2
色数ボーナス: 3

P(n)=90×{C(n)+2+3}=90{C(n)+5}


n連鎖目で発生する得点とn+1連鎖目の合計をQ(n)とする。

・(2)のn連鎖目の得点
消えたぷよの数: 5
連鎖ボーナス: C(n)
連結ボーナス: 2
色数ボーナス: 3

50×{C(n)+2+3}=50{C(n)+5}


・(2)のn+1連鎖目の得点
消えたぷよの数: 4
連鎖ボーナス: C(n+1)
連結ボーナス: 0
色数ボーナス: 0

40×C(n+1)

よって、
Q(n)=50{C(n)+5}+40C(n+1)


以上より、
P(n)-Q(n)=40{C(n)-C(n+1)}+350
=350-40{C(n+1)-C(n)}



C(n+1)-C(n)が8以下か9以上かでP(n)-Q(n)の正負が決まる。

C(n+1)-C(n)は
n=1で、8-0=8
2≦n≦4で、2^(n+2)-2^(n+1)=2^(n+1)
n≧5で、32(n-2)-32(n-3)=32

よって、
n=1, 2のとき、P(n)-Q(n)<0
n≧3のとき、P(n)-Q(n)>0



したがって、

n連鎖2色同時消し VS n+1連鎖シングル
(n: 5連結と4連結)    (n: 5連結 → n+1: 4連結)

n=1, 2のときに n連鎖ダブル の方が得点が高く、
n≧3のときに n+1連鎖シングル のほうが得点が高くなる。




したがって、

この文脈における「小さい連鎖」とは、2連鎖までのことを指していたようです。


つまり、上で出した「3連鎖ダブル vs 4連鎖シングル」の例では、4連鎖シングルの方が大きくなります。


ここで、ハングリーな読者の方々は次の疑問が思い浮かぶと思います。


「5連結の部分の連結をもっと増やしたらどうなる?」


ということで、
さらに一般化してm連結の場合を考えてみましょう。



...その前に少しコーヒーブレイクを。





コーヒーブレイク

新しい得点比較クイズを2つ用意しました。

ぜひ考えてみてください。

この2問を正解できたら、相当なぷよぷよ博士だと思います。


問題のすぐ下に答えがあるので、自分で考えたい方はご注意ください。




【問題1】

どっちの連鎖が大きい?



©SEGA





【答え】

(2)の方が大きい。

2連鎖目までは全く同じ消え方をします。3連鎖目以降の得点は、
(1)が3250点、(2)が3260点になります。



【解説】

(1): 全体は3連鎖になります。
3連鎖目で緑ぷよ9連結と黄ぷよ4連結が同時に消えます。


・3連鎖目の得点
消えたぷよの数: 13
連鎖ボーナス: 16
連結ボーナス: 6
色数ボーナス: 3

よって、
130×(16+6+3)=130×25=3250


(2): 全体は4連鎖になります。
3連鎖目で緑ぷよ9連結が、4連鎖目で黄ぷよ4連結が消えます。


・3連鎖目の得点
消えたぷよの数: 9
連鎖ボーナス: 16
連結ボーナス: 6
色数ボーナス: 0

90×(16+6+0)=90×22


・4連鎖目の得点
消えたぷよの数: 4
連鎖ボーナス: 32
連結ボーナス: 0
色数ボーナス: 0

40×32

よって、
90×22+40×32=3260


3250<3260より、(2)の方が大きい。




【問題2】

どっちの連鎖が大きい?



©SEGA






【答え】

(1)の方が大きい。

3連鎖目までは全く同じ消え方をします。4連鎖目以降の得点は、
(1)が13500点、(2)が13480点となります。



【解説】

(1): 全体は4連鎖になります。
4連鎖目で赤ぷよ26連結と青ぷよ4連結が同時に消えます。




©SEGA


・4連鎖目の得点
消えたぷよの数: 30
連鎖ボーナス: 32
連結ボーナス: 10
色数ボーナス: 3

よって、
300×(32+10+3)=300×45=13500


(2): 全体は5連鎖になります。
4連鎖目で赤ぷよ26連結が、5連鎖目で青ぷよ4連結が消えます。




©SEGA


・4連鎖目の得点
消えたぷよの数: 26
連鎖ボーナス: 32
連結ボーナス: 10
色数ボーナス: 0

260×(32+10+0)=260×42


・5連鎖目の得点
消えたぷよの数: 4
連鎖ボーナス: 64
連結ボーナス: 0
色数ボーナス: 0

40×64

よって、
260×42+40×64=13480


13500>13500 より、(1)の方が大きい。



以上コーヒーブレイクでした。



それでは本題に戻って

連結数をm≧5として一般化してみましょう。





一般化その2

考えていきたいのは次のような形になります。

(1)【*】→...→【*】→【m+4】
(2)【*】→...→【*】→【m】→【4】



つまり問題設定としては


(1)n連鎖2色同時消し
(n連鎖目: m連結と4連結)

(2)n+1連鎖シングル
(n連鎖目: m連結, n+1連鎖: 4連鎖)

この2つの連鎖の得点を比較せよ。
ただしn-1連鎖目までの得点は等しいとする。



それでは実際に計算していきます。


P(n, m): (1)のn連鎖目で発生する得点
Q(n, m): (2)のn連鎖目で発生する得点とn+1連鎖目の合計
とする。

P(n, m)=10(m+4){C(n)+L(m)+3}
Q(n, m)=10m{C(n)+L(m)}+40C(n+1) 



P(n, m)-Q(n, m)=40{C(n)-C(n+1)}+10{4L(m)+3m+12}
=10[{4L(m)+3m+12}-4{C(n)-C(n+1)}]


A(m)=4L(m)+3m+12,
B(n)=4{C(n)-C(n+1)} 
とおくと、

P(n, m)とQ(n, m)の大小はA(m)とB(n)の大小と一致する。


A(m)は、
5≦m≦10のとき、4(m-3)+3m+12=7m
m≧11のとき、40+3m+12=3m+52

B(n)は、上で計算したC(n+1)-C(n)を参照して、
n=1のとき、32
2≦n≦4のとき、2^(n+3)
n≧5のとき、128

(ⅰ)n=1, 2のとき
B(n)=32
任意のm≧5に対して、A(m)≧35>B(n)

(ⅱ)n=3のとき
B(3)=64
5≦m≦9のとき、A(m)≦63<B(n)
m≧10のとき、A(m)≧70>B(n)

(ⅲ)n≧4のとき
B(4)=128
5≦m≦25のとき、A(m)≦127<B(n)
m≧26のとき、A(m)≧130>B(n)


以上より
・n=1, 2のとき、P>Q
・n=3のとき、5≦m≦9でP<Q, m≧10でP>Q
・n≧4のとき、5≦m≦25でP<Q, m≧26でP>Q




したがって、

n連鎖2色同時消し VS n+1連鎖シングル
(n: m連結と4連結)   (n: m連結 → n+1: 4連結)

n=1, 2では、任意のm(≧5)連結でn連鎖ダブルの方が大きく、

n≧3では、少ない連結ではn+1連鎖シングルの方が大きいが、
ある程度大きい連結以上になるとn連鎖ダブルの方が大きくなる。

その「ある程度大きい連結」というのは、
n=3の場合は10連結、n≧4の場合は26連結である。





【具体例】

ここまで抽象的な議論をしたので、実際に具体例を見ていきたいですね。

例えばですが、4連鎖目に26連結する盤面などはそもそも理論上存在するのでしょうか?


...なんてわざとらしく言ってみましたが、お気づきの通り、先程出題した2つの問題がちょうど具体例となっています。


問題1はn=3, m=9を入れたもので、「ある程度大きい連結」の手前なので(2)の方が大きくなっています。

問題2はn=4, m=26を入れたもので、ちょうど「ある程度大きい連結」なので(1)の方が大きくなっています。



これらはちょうど境界を攻めており、連結数をたった一個変えるだけで(1)と(2)の大小が入れ替わってしまいます。

ということで、コーヒーブレイクとか言っておきながら、かなり意地悪な問題だったわけです(・ω<) 






おわりに


最後まで読んでくださり、本当にありがとうございます。

本当は末尾の連鎖の連結数も変数にしたかったのですが、記事が思ったより長くなってしまったため、ここで打ち止めとすることにいたしました。
中途半端な一般化で終わってしまったため、得られた結果自体はマニアックなものとなっています。
そのため、実戦に活かすための知識を蓄えるというよりは、得点計算の様子や「連結数 vs 連鎖ボーナス」の綱引きのようなやり取りなど、過程の部分を面白く感じてもらえればなと思います。

最後に、このアドカレというイベントを通して色んな界隈のぷよラーの方々が一同に集っているような気がして、この何気ない一体感が本当にいいなと日々感じています。また、毎日更新されていく記事のジャンルが幅広く、どれも個性的な内容であふれていて、それらを読んでいくのが楽しいです。

改めてこの企画を主催していらっしゃるさがわ様、そしてここまで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。 
更新日時:2025/12/19 17:51
(作成日時:2025/12/19 14:21)
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