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【実況解説】重くぷよ実況Tips【読み物】

by
gesoir91
gesoir91
 最近は色んな所で色んなかたの実況を耳にする機会が増えていると感じます。
 それでいて実況されているかたのレベルも全体的に上がっていると私は感じています。
 担当されているかたの工夫、努力があることなのでしょう。
 ただ、そんな中でも聞いていて良い悪いの違いがあるように感じたので、その理由を考えてみました。何でもっと聞きたい(面白い)と思うんだろう、何で耳に入ってこないんだろうって。
 それをちょっと考えてみたところある程度原理(?)が掴めた気がするので、それを書いてみようと思います。
 それが正解なのか分かりませんし、正解だったとしても良く聞こえるようになるのは私だけかも分かりませんが、何らかの参考にはなれると思いますので、興味あるかたはどうぞお付き合い下さい。長文で読むの大変だとは思いますけれども><

 先に言っておきますが、特定の誰かの名前をあげてここが良いと褒めることはあっても、ディスるような感じで個人名を書いたりすることはありませんし、特定の誰かを揶揄したり当てつけて書いているつもりも一切ありませんので、ご安心下さい。
 言ってしまえば、Tomさんとmomokenさんなんかの実況は凄く興味を引っ張られる感じで聞こえるのに、他の方が『それと同等に良く聞こえない』のは何でだろう、どこに違いがあるのだろうと思ったところを紐解いて考えてみた感じです。(Tomさんmomokenさん以外全員良く聞こえないという訳ではなく、便宜的に特に良く聞こえるお二人の名前を借りただけ)
 別に誰がどうとかいう話ではなく、こうやって実況を深掘りして考えることで、ぷよ実況のレベルが更に上がっていけばいいなという思いです。


●視聴者の興味によせる 

 私が発見した良く聞こえる一番の原理は『視聴者の興味によせた実況』であるかどうかです。
 視聴者の興味というのは、雑に言うなら『勝敗に直結する要素を如何に話せているか』という所なのかな、と思います。

 例えば1Pが3ダブを発火した時、視聴者は『これが刺さるか刺さらないか、2P側は対応手が作れているかどうか、刺さったら勝てるのか勝てないのか』みたいな所に興味が向かいます。
 それなのに3ダブの作り方がうまいみたいな言葉が先にきてはいけません。
 まずは刺さるか刺さらないかみたいな所を言及し、勝負の行方がどうなるかを実況しなければいけません。
(※便宜的に『先に来てはいけない』と表現していますが、実況は常に流動的で伝え方によるものなので『この言葉が先に来たらそれ即ちダメ』と考えている訳ではありません。記事全体を通してこういった表現が多分に含まれていますが、『原則的にはこうだ』という意図だと察して下さい)

 視聴者の興味は勝負の行方にあるというのはそういうことで、聞いてて良い実況をされるかたは勝負の流れに沿った(勝敗を軸にした)事柄を言葉にして伝えてくれているのですが、いつの間にか聞き流しているかたは勝負が続いている時も「今の連鎖の作りが上手かった」みたいな解説を入れがちです。
 決着がついた時や膠着状態になった時なんかに『先ほどの3ダブの作り方がうまかったので見切りにくかったのでしょう』みたいに解説するのであれば良いと思います。
 その解説を入れるタイミング、解説の尺の長さ、ちゃんと勝負の行方を見守る実況が出来ているかどうか、というところに違いがあるように感じました。

 また、Tomさんやmomokenさんは『これで状況はイーブンになった』とか『有利不利が逆転した』とか『まだ1P有利だ』といったようなその瞬間での勝敗に関する状況をよく伝達してくれます。
 これは正に先述した『勝敗に直結する要素を如何に話せているか』という内容の言葉になります。
 私程度のぷよの実力ではパッと見ではどっちが優勢なのか分からないことが多いので、こういう言葉は聞きたい言葉になってきます。
 ですので、例え他に解説したい言葉があったとしても、こういった言葉が先にくるのが大事なのだと、私は思います。
 視聴者は常に『勝負の行方はどうなるのか』という所を一番気にしているのです。

 これってよく考えればとても自然なことで、例えば競馬の実況で
「さあ最後の直線だ! 一番人気のゲソイルハヤイナーに鞭が入った! コースの位置取りが素晴らしいですね! スタートは少しもたついていましたが、そこから上手く折り合いを付けてじわりじわりと先頭に迫ってきていましたね! この馬は直線で真価を発揮するタイプの馬ですので、序盤がもたついてもさほど問題はないですね! 二番人気のクマチョムスゴイワーの末脚も凄いことで有名ですが、最終コーナーに入る前に少しつっかかってしまいましたね! もう少し外側に出ようとした意図が見えました! しかしこれでは届かない! いや~、最後もう少し伸びるかと思ったのですが、疲れが出ていましたね。タイム的には悪くはないですが、これは前のレースで~」
 とか実況されたら「は?」ってなります。
 これでは状況が全く分かりませんし、どこで盛り上がればいいのかも分かりません
 視聴者はどの馬が勝ちそうなのか、このレースの勝者は誰になるのかという所に注目しているのに、聞きたいことを全然喋ってくれないので、きっと視聴者の耳には入っていかない実況になっていることでしょう。
(確かに1番人気の馬は多くの視聴者が気にしていますし、聞きたいっちゃ聞きたいんですけれども)
 上記は分かりやすくする為に物凄く極端にして例をあげましたが、言ってしまえばこんな感じのぷよ実況を聞くことがあると私は思っています。

 私が前回投稿した記事でも言及しましたが(7:3の法則)展開の速いぷよの試合において試合中解説はそんなにいらないのです。
 みんなが注目する『試合の決着』というゴールに向かって今正に試合が動いているのだから、そこを軸に実況して欲しいのです。
(前回の記事で書いた『ポイントは抑えよう』という話も広義にはそういうことです、勝敗に関わることは伝えるべきです)
 ぷよ実況者さんは特に「~でしたね」といったような言葉を使いがちな印象を受けますが、これは過去を振り返った解説の話に聞こえてしまっています。
 その言葉を使うのは試合の決着がついた後、その試合をサッと振り返る時で良いのです。
(全く同じ言葉でも語尾を「~でしょうか?」と推し量る感じにするとライブ感が出て実況に寄ると思いますので、その辺り意識するといいかもしれません)
 試合中は『今ある状況』を伝えることに注力すると、よりTomさんやmomokenさんのように良い感じに聞こえてくるのかな、と思いました。

 多分、今実況解説を担当されているかたはまだ経験が浅く『実況の語彙』が少ないのかなと思います。
 なので、自分にも分かる(言葉が出てくる)事柄に頼って言葉を埋めてしまいがちなのかなと。
 漠然と実況しろと言われても何を言えばいいのか分からずうまく言葉が出てこないのかもしれませんが、今暴発した理由を説明しろと言われれば(理解している上級者であれば)簡単に言葉を繋げられますから。
 多分解説の方が楽なんだと想像します。

 しかし、実況者は実況をしなくてはならないのです。
 試合が盛り上がるのは解説の言葉ではなく実況の言葉です。
 いつまでも解説に頼った実況をしていると、ぷよって何か盛り上がりにかけるなみたいな風潮に染まってしまい、コンテンツが死んでしまいます。

 なので、是非とも実況の語彙を増やすという意識を持ってみて下さい。
 多分意識して経験を積めば誰でも語彙は増えると思います。
 練習するなら『解説を一切しないで実況の言葉だけで1試合実況やりきる』という縛りをつけてやってみると、効果的な練習になると思います。
 最初のうちは言葉がうまく出てこず、変な感じになるかもしれません。
 そうなった時に実況の語彙を探すという行為に出ると思いますので、そうやって実況の語彙を探して見つけていく経験を積むことで、実況の語彙は確実に増えるはずです。
(もちろん、本番でも試合中一切解説するなという話ではありませんよ念のため。解説に頼った実況から脱する為、実況の配分を多くするための訓練という意味合いなのは理解して下さいね)
 そうすることで実況の配分は自然と上がっていくでしょうし聞こえは良くなると思いますので、興味あるかたは是非実践してみて下さい。


●良い実況(の言葉)とは? 

 実況の語彙を増やすべきだとは言いましたが、実況の語彙にも良い悪いはあると思っています。
 言ってしまえば、ぷよの理解が深くないアナウンサーが実況する言葉なんかはあまり良くない部類の実況だと私は思っています
 何故なら、視聴者が見たい勝負の分かれ目と微妙にズレた実況になってしまっているからです。
 
 例えばこういうケースを考えてみましょう。
 1P先撃ち10連鎖→2P後撃ち12連鎖→1Pのセカンドが刺さって1Pの勝利。
 こういった試合の場合、勝負の鍵は1Pのセカンドが上手く完成するか否か、もしくはその1Pのセカンドを返せるだけのセカンドを2Pも作ることが出来るかという所になります。
 視聴者にそこを注目させなくてはいけません、勝負の分かれ目ですので。

 恐らく、Tomさんやmomokenさんであれば2Pが本線を発火した瞬間に「これは返りそうだな」というのが理解出来るので、すぐに1Pのセカンドが勝負の分かれ目になると判断出来ますし、実際に「これは1Pのセカンド勝負になる」と言葉に出してくれ、視聴者の視線を誘導してくれます。
 しかしぷよの理解が浅いかたの実況だと勝負の分かれ目が見えないので、視聴者の視線を1Pに釘付けにするような感じで「8連鎖! 9連鎖! 10連鎖!! 1Pが10連鎖を放っていった! 2Pはこれを返せるのか!?」と実況し、その後2Pに誘導するような形で「2Pが……10連鎖、11連鎖、12連鎖でそれを返した! 2Pが返した! 凄い試合だ! おっと更に1Pがこれを返していく!!」という実況になるので、視聴者は手に汗握る1Pのセカンドの作成の過程に目が追いついていきません。
 セカンドを上手く積み上げれば勝ち(有利)失敗すれば負けという息を飲むプレイの大半を見逃してしまうことになるのです。

 視聴者はその過程が見たい!
 セカンドが上手く組み上がっていく過程を見れば「返せるかも!?」という期待が膨らんでいきますし、盛り上がります。
 難しい伸ばしが成功すれば「うおおおお!」ですし、失敗すれば「ああぁ……」です。
 その現場、成功するか否かが見たいですし、そこを見させて楽しませるべきなのです。
 よくTomさんやmomokenさんから「1Pも良いセカンドを組み上げてきている!」とか「あと赤が2つくれば!」とか「1個きたああああああ!!」みたいな言葉が聞けると思いますが、そういうことです。
 こういった言葉は一見単なる実況のようですが、とても素晴らしい視聴者の視線誘導になっています。
 そういう実況であれば視聴者の視線もそっちに行くので、みんな一緒に神がかった技術で連鎖を作っていく過程を見ることが出来、固唾を飲んで勝負の行方を見守ることが出来ます。だから盛り上がるのです。

 視聴者は実況者よりも盤面をうまく把握出来ない人が大半ですので、そういう風に注目すべき所を言葉に出して視線を誘導してくれないと、多くの視聴者(特に楽しさを分かって欲しい初心者)はただ漠然と試合を眺めるだけになってしまい、勝負所も見逃してしまいます。
 そうなると『プロの技術を目の当たりにして盛り上がる』のではなく『唐突に起こった結果を受け入れ、派手だったからとりあえず盛り上がってみる』みたいな、何が凄いのかよく分からない変な感じになってしまいます。
 これではぷよの面白さが真に伝わりません。

 理解の浅いアナウンサーは勝負所を察知する事が出来ないので言葉に出すことも出来ませんし、視聴者を良い場面に誘導することも出来ません。
 そういったかたの実況があまり良い実況になっていないというのはそういうことです。
 ですので、ぷよがちゃんと理解出来る人も『連鎖が返るか返らないか』や『セカンド勝負になるのか』などといった勝負のポイントは自分で見切った段階ですぐさま言葉に出し、視聴者にも伝えて勝負のポイントを見守らせてあげると良いと思います。
(本当は画面にポインタを映すことが出来れば見るべきポイントが非常に分かりやすくなり、分かりにくいとされるぷよコンテンツの弱点をめちゃくちゃカバー出来るので、コンテンツの質がグッと上がると思うんですけれども、やっている番組がないというのは実況者の技術的な問題なのでしょうか)
 そういったことがうまく出来る実況者が聞こえの良い実況者なんだろうと、私は思います。

 ちなみにですが、もしかしたら「この12連鎖は返らないので負けということを先に言ったら初心者に対してネタバレっぽくなっちゃうんじゃないか」と思うかたもいるかも分かりませんが、それを気にする必要はありません。
 視聴者にもそれなりに盤面は見えるという人は大勢いる訳で、それをわざとらしく「返るか!? どうだ!?」みたいに引き延ばしても、白々しく見えて興ざめされてしまいます。
 初心者は何もかも分からないので、例えネタバレっぽくなっても「そういうものなんだ(分かる人が見れば分かるんだ)」と納得出来ます。
 ですのでさっさと先の展開を述べてもデメリットには成り得ませんし(何で先言っちゃうんだよみたいな初心者はいない、いたとしたらその人が楽しみ方を間違えているし、そう実況することで間違った楽しみ方を教えてしまっている)そうなるとちゃんと見切れている人が興ざめしてしまうデメリットしか残りません。
 経験者が見れば明らかに詰まったと分かる外野フライを「大きいぞ! 入るか! どうだ!?」みたいに実況されても冷めるだけというのと同じです。
 こういうのは見たまんま正直に「これは詰まったか」でいいのと同じように「これはちょっと足りないか」とか「これでは恐らく足りないでしょう」と結果を言ってしまい、足りない結果を見守りつつ、さっさとどこが敗因(勝因)だったかなどの言及に入ってしまって良いと思います。

 こういうのって椿さんや橘さんのように上級者レベルで盤面が見ることが出来ないMCと組んでいる場合はちょっと考える必要が出てきそうです。
 というのも、経験者が見れば返ると分かる連鎖をそういったかたが実況で「これは返るか!?」みたいに熱く実況してしまった時「返りますよ」と言ってしまうと、何か冷や水を浴びせてしまったみたいな不穏な印象を受けなくもないからです。
 これって何がいけないのか紐解いてみると、この時点(連鎖を発火した時点)でゲームは『返った後セカンドがうまく出来上がるか』という所に勝負のポイントが移っている事実があるので、実況の視線誘導が的確でない、と私には見えます。
(この場合返るかどうかを注目させてしまっては、ぷよ勝負の面白さは伝わらない、盛り上がりにかける感じになってしまう)
 言葉にどういう意図があろうと、視聴者は実況の言葉に視線を誘導されてしまいますからね。理解が浅い初心者は特に。

 なので、出来ればMCのかたは分からないのであればそういうことは言わないか、解説に「これは返りますか?」とふってくれるといいんですけれども。
 やはり理解が浅い実況者がぷよのガチ試合を良いコンテンツに仕上げるのは難しいのかなと、私は思ってしまっています。



●具体例 

 あまり抽象的なことばかりだと伝わらないと思ったので、あくまで私が良く聞こえると思う一例として、試合中どんなことを喋ると良いのか具体的に試合のタイムラインに沿って言及してみます。
 あくまで私が良く聞こえると思う一例なので、これ以外ダメとかそういうことじゃないのは理解した上でご覧下さい。

1.試合開始~
 勝負の決め手になる要素は薄い序盤ですので、何喋っても大丈夫だと思います。
 前の試合のことなり、マッチ(30先なり2本2セット先取りなり)の決着に向けた現在地の説明なり。
 有利不利に関わるような出来事、例えば怪しい土台を組んでいるとか操作ミスがあったとか、そういったことは言及しておくと後に伏線となって返ってきたりするので、効果的だと思います。

2.中盤の催促合戦~
 例えば1Pが2連鎖催促を打ったみたいな出来事は言葉に出して実況すべきです。
 そして、動きがあってからは動いている試合の実況に注力しなければなりません。
 今いるぷよ実況者さんは割とすぐに言葉を繋げてその連鎖を評価したり解説したりしがちですが、それはあまり重要なことではありません。
 基本的に試合中、過去の話は割とどうでもいいんです。
 そんなことよりも、これから試合がどうなっていくのかという方が視聴者にとって大事です。
 なので伝えるべきことは今現在、もしくは未来のこと(ぷよはゲーム展開が早いので、極力早く状況や展望を言葉で伝えてあげて見る準備をさせてあげると視聴者は見やすくなる)になりますので、今行われたプレイの技術解説よりも勝敗の行方に関することを優先して言及してあげて下さい。
 従って、例えば1Pが3ダブを打った時点で伝えるべきことは3ダブを打った事実と合わせて『2Pが対応出来るか、出来ないか(出来たか出来なかったか)、致命的か、そうでないか、この攻撃で有利不利はどう動くか(動いたか)』などといった試合の展開です。

 特に、催促のやり取りが行われた後はそれがどういう風に上手かったかよりも、その結果どうなったかの方が重要です。
 結果として形を崩してしまった2Pが少し不利になったや、状況は五分のまま、などといった勝ち負けに関わることを言及しましょう。
 momokenさんなんかはよく丁寧に「これは有利不利に影響はない」みたいに言及してくれる印象がありますね。(しかもクドい感じもなく、自然に。凄い!)
 イバラは速く反応しにくいのでよく対応しました、みたいな評価(解説)も良いですが、優先して話す言葉ではありません。
 そういうのは戦況が膠着しそうな時に繋ぎとして出てくる言葉なのかな、と思います。
 それよりも伝えるべきことはあるので、言うにしても一言サラッとにしましょう。

 伝えるのが難しく誤解を招きそうなので補足しておきますが、別に解説入れるのがダメという話ではないです。
 解説のような言葉でも、例えば「これは良い2ダブ(過去のことではなく今のこと)」といったような実況は、視聴者目線では「であれば刺さりそう」という期待を持って盤面を見ることが出来るので、むしろ解説を入れることによってより効果的な実況になっていると思います。
 あまり良く聞こえない人は現在進行形で試合が展開しているにも関わらず「あの二ダブは本線に繋がっているように見えてしまうので、良い攻撃になりましたね」といったような解説を続けがちで、その解説のタイミングの取り方、塩梅(実況すべき事柄をちゃんと実況した上で解説をうまく取り入れているかなど)が良く聞こえる人とそうでない人の差になっているように見えますよ、という話です。

 実を言えば、有利不利が動いていない時も「動いていない」と伝えなければいけない時があります。
 初心者は今のアクションで有利不利が動いたかどうかすら分からないので。

 こういった空気感とか塩梅とか状況に応じた必要な言葉なんていうのは、私が1ケース1ケース書けるようなものではありませんので、是非とも「今これを伝えるべきだ」というのをご自分で考え、追究してみて下さい。
 それを考える上で軸となる一番の正義は『視聴者の興味によせること(多分勝敗に関すること)』だと私は思いますぜ。
 その瞬間視聴者が一番聞きたいであろう情報から伝えていくのです!



3.膠着状態~
 こう有利不利の変動がない時は解説を入れても良いタイミングだと思います。
 初心者では『次どういう展開になるのか』画面を見ただけでは全く予想もつかないので、その辺に言及する形で盤面をサックリ紐解いてあげると視聴者が聞きたい実況になってくると思います。
 1Pが3ダブを打ちたそうな形とか、2Pは本線重視の組み方とか。
 こういうことを伝えておくと、次のアクションが起こった時の納得感が出来たりしますし、試合の流れが掴みやすくなります。
 もちろん、膠着していても有利不利に関することも言及できます。
 形が良さそうとか悪そうみたいなのはよくmomokenさんが言及していますが、これもとても分かりやすい有利不利の伝達だと思います。
 こういうのは主観で全然構わないと思います。
 視聴者にとって『上級者はこう見ている(上級者はこういう勝負をしている)と分かる』という意味がちゃんと出てきますので、間違っていても問題はありません。
 盤面には色々な見方があると思うので、そもそもちゃんとした正解なんてないんでしょうけれども。


 ちなみに、こういったことも言い方一つで印象は変わります。
 例えば「1Pは第二折りを組みにくそうにしているが――どうだ?」と実況するのと「1Pは第二折りが組みにくい形になっていますね」と実況するの、どちらがライブ感、ドキドキ感が伝わってくるでしょうか?
 私は前者だと思います。
 前者は「これからどうなっていくのか」という期待を持たせてくれますが、後者は「既にそうなってしまっているので、じゃあダメなのかな」みたいに期待を折られている感じに聞こえなくもないです。
 これが「やや組みにくい形になっているでしょうか」と推し量る感じなら、まだ勝負はこれからって感じはしてくるのですけれども。
 こういった言葉の端にも気を配って『実況』を意識してみるといいかもしれません。
 言葉を過去形にしてしまうと解説っぽく聞こえるので、実況を意識する時は『現在形』『推量』を意識するといいかもしれません。
 恐らくプロのスポーツ実況は過去形よりも現在形や推量(過去推量も含む)を多用していると思います。


4.本線発火
 決着の時が迫ってきているので、気合い入れて盛り上げていきましょう。
 競馬で言うならば、最後の直線に入った時のような感じです。
 先撃ち本線が進行している間に伝えるべきことも、もちろんこの先の試合展開、勝負のポイントになる所です。
 後撃ちが間に合うか、返せるか――といったような所ですね。
「かなり大きな連鎖なので、2Pは伸ばさなくてはいけない」みたいなmomokenさんの実況はよく耳にしますが、見せるポイントがとてつもなく的確です。
 こういう言葉があれば視聴者はすんなり2Pの伸ばしに視線を移すことが出来ますし、それで上手く伸ばし切れたらみんな揃って「うおおおお!!」と大盛り上がり出来ます。
 もちろん、初心者さんは上手く伸ばしきれたかどうかすら分からないので、伸ばして発火出来るかどうかの所(勝つか負けるかの勝負所)まで実況しなくてはなりません。

 その発火が間に合って返る量があるのであれば、今度は勝負所が『1Pがセカンドを上手く組めるかどうか』に移行するので、今度はまた1P側に視線を誘導させてあげる必要が出てくるでしょう。
 返るかどうか微妙だったり、複雑すぎてよく分からない連鎖であれば、勝負のポイントは『この後撃ちで返せるか否か』なので、そのまま2Pの連鎖を見守る形で良いのかなと思います。

 要するに、ちゃんと言葉で視聴者の視線を勝負所に誘導させてあげていれば良いのです。
 恐らくぷよの実力がある実況者さんは盤面を見れば勝負所は理解出来ると思うのですが、言葉に出して視聴者を誘導してくれる人は少ないと感じています。
 多分実況者さんだって全部が全部的確に勝負所が分かる訳ではないと思いますし、見誤ることもあるのだと思いますが、視聴者はそれ以上に分からないので間違えたとしてもさほど問題にはなりません。(上級者でも分からない複雑な勝負なんだと理解出来る)
 それよりもちゃんと上級者(ぷよ勝負の楽しさを理解している人)と同じ目線で楽しませてくれているかの方が大事です。
 その為、momokenさんのように『ちゃんと言葉に出して誘導してあげる』ことを意識してみてると、実況の質がグッと上がって視聴者の満足度も上がっていくと思います。


●実況者は演出者 

 ところで、私は『ぷよの実況者は演出家である』と思っています。
 同じぷよ試合動画でも実況音声があるものとないものでは伝わってくるものが全然違うと思うからです。
 実況者が画面だけでは伝わらないコンテンツの面白さを引き立ててくれるから、試合がより熱く、より面白くなっているのでしょう。
 従って、実況者の役割は『今あるぷよの試合を面白く演出すること』で間違いありません。
 ですので、実況を任されたのであればどんなクソみたいな試合でも(自分の感性を駆使して)面白く仕上げなくてはなりません
 仮に面白く出来なかったというのであれば、その仕事は失敗と思っていいと思います。

 では、具体的にどういうふうに面白くすればいいのでしょうか?
 それって個人のセンスによるものなんじゃないの? という感じはしますが、そんなことはありません。
 確かに漠然と面白くしろと言われても難しいとは思うのですが、試合を1つのコンテンツとしてまとめあげる技術は存在するはずです。
(=センスだけではない)
 コンテンツを上手くまとめるポイントとして、私の方から2点示してみます。
 それは『終わり方』『強弱の付け方』です。
 それぞれ見ていきましょう。

 まず終わり方ですが、これはそのマッチ(30先なり2本2セット先取りなり)の決着がつく瞬間のことを指します。
 終わりが良ければ見ている方も良い余韻が残り、見て良かったと満足感に浸れますし、また見たいと思う動機になります。
 言うならば映画のラストシーンですね。
 試合の最後が盛り上がらなかったというのであれば、それは視聴者に後味の悪いクソ映画を見せたのと同義です。
 これだけはあってはならない。
(まぁ、30-12の大差で勝利とかだと決着した瞬間を盛り上げるのは難しいと思いますけれども)

 なので、また見に来てもらえるように実況者は是非とも良い映画を見終わった時のような感慨を視聴者に残すことに努めましょう。
 その為に、試合前から一番大事なクライマックスをイメージして、1Pが勝った時はこういうセリフで終わらせようとか、2Pが勝った瞬間はこういう決め台詞にしようとかを用意しておくといいのかなと思います。
 映画だって一番感動できるクライマックスから逆算して、そこを盛り上げる為に序盤や中盤の展開を作るってパターンが多いと思っています。
 行き当たりばったりで作り、ラストもよく分からない番組が面白くなるとは思えませんので、ちゃんと感動できそうなラストをイメージして先に作り上げてからそれに向けて序盤中盤を積み上げていくという意識は、面白い試合を演出する実況者にも重要になるのかなと思います。

 例えば具体的に……私なんかでは試合を飾る華やかな言葉が浮かんできませんが「▲▲の猛追を振り切って30-27で●●が辛くも勝利! クライマックスシーズンへ向けてまた一歩歩みを進めました!」とか「30-14で●●が貫禄の勝利! お前にはまだまだ早いと言わんばかりに実力の差を見せつけました!」とか、プレイヤーの状況に沿った言葉を複数用意しておく感じでしょうか。
 唐突にその言葉でしめると変な感じになってしまうので、良い決めゼリフを思いついたら、やや強引にでも終盤に向けてそのセリフが合うような雰囲気作りをしていく……みたいになるんですかね。
 あるいは『この雰囲気なら1Pが勝った時はこういう言葉で締めよう』みたいに試合中に閃く感じになるんでしょうか。
 一見無駄とも思えるものでも、事前にプレイヤーに関わる情報を片っ端から頭に詰めておくと良い言葉が閃きやすくなりそうな感じしますが……こういう技術的な話は(私にとって何の役にも立ちませんが後学のためにも)是非ともプロの実況アナウンサーの話を聞いてみたいですね。
 何にせよ『試合を盛り上げ、終わった後に視聴者に満足感を残す』という役割を果たすために、試合の決着時は常に意識しておくべきだと思います。

 コンテンツを上手くまとめる方法、終わり方の次は『強弱の付け方』です。
 これは盛り上がる所とそうでない所の力の入れ具合の話になります。
 具体的には言葉の強さやスピード、密度の入れ具合、緩急になってくると思います。

 スポーツ実況を思い浮かべてみて下さい。(競馬なんかが分かりやすいでしょうか)
 試合開始直後から絶叫している実況なんて聞いたことないと思います。
 また、勝負が動くところ(点が入ったとか、最後の直線に入ったとか、逆転したとか)はかなり強い言葉で実況しているのが想像出来ると思います。
 何でそうなるのかと言うと、そうすれば『その場が引き立つ』からです。

 話の創作やお笑いなんかも同じ原理の演出がなされています。
 いつもは平然と振る舞っているキャラが涙しているから、そのつらさが伝わってきますし見ている方も心が動かされるのです。
 その辺雑に扱って「よし視聴者の心を動かしまくってやろう」とそのキャラを泣かせまくってもただ泣き虫のキャラにしか見えないので、そのキャラが泣いたところで見ている方の心は動きません。
 普段は絶対に泣かないというがあるから、泣いたときのが引き立つのです。
 お笑いも同じ原理として、異常な状況の中で異常なことをやっても面白くないという話を聞いたことがあります。
 普通の状態の時に異常なことをやるから、その異常さがキワ立って面白くなるのです。
 
 それと同じでスポーツ実況も試合が動いていない時は冷静に、試合が動いている時(視聴者が盛り上がっている時)は強く、早く、まくし立てるように、同じ言葉を繰り返して強調し、盛り上げる場面を演出しています。
 平常時とは違う感じでまくし立てれば切迫感が、同じ言葉を繰り返せばその出来事の凄さ(?)が演出出来ますね。
 これも立派な実況者の技術と言えるでしょう。

 今ぷよ実況を担当されているかたは割と一本調子な感じでスルスルと実況を進めていってしまっている印象ですが、もっと強弱があっていい!
 特に試合の終盤、25本以降決着が着きそうな場面は決着に向けてガンガン上がっていっていいと思います。
 28本目とか29本目とか、最後の直線、ゴール前ですよ?
 競馬で最後の直線をスタート直後と同じテンションで実況しているアナウンサーとか聞いたことないですよね?
 その辺り少し意識する感じで、30先なら10本目くらいまでは冷静に、20本目くらいまでは少しエンジンを入れて、最後の30本目までは決着に向けて爆走していくような『全体を通した構成&雰囲気作り』があってもいいのかなと思いました。

 これも視聴者のボルテージに合わせ、それを助長させてやる感じにすると良い感じの演出になると思います。
 序盤は見ている方も「まだまだこれから」という感じですが、終盤は「まだ行ける! 頑張れ! 負けるな!」とボルテージが上がってきますので。
 そういう意味で、中盤以降スコアが競っていたりシーソーゲームを繰り返している時なんかは視聴者も熱くなっていると思いますので、ここぞとばかりにギアをあげて視聴者の興奮を煽るように雰囲気を作っていくと、更に試合も盛り上がっていくことでしょう。
(逆に視聴者のボルテージと逆を行ってしまうと白ける原因になってしまうので、視聴者と同じ目線で試合に没頭することも大事なんだと思います)
 
 確かにぷよ実況には複雑な盤面を見極めるという他にはない特殊な技術が必要ですが、それ以前に『雰囲気を作る技術』が必要なのがスポーツ実況です。
 その辺りの技術が身につき、盛り上がる雰囲気作りが出来るようになっていけば、更にコンテンツは盛り上がっていくことでしょう。
 残念ながら現状ぷよコンテンツではこういった力がまだまだ足りていないと私は思っています。
(Tomさんなんかはこの辺りがとても巧みで試合を盛り上げるのがうまい印象を私は持っていますが)
 もちろん、足りていないからダメだという話はなく、足りていないことに気がついて、そこを意識して伸ばし、よりよいコンテンツにしていこうという話なのですけれども。
 プロの実況者が担当している訳ではないので、今は出来なくたって当たり前。
 しかしお金を貰ってプロとして仕事をするというのであれば逆に、出来ないと困ります。
 技術を習得する意識がなければ習得することなんて出来る訳ないですが、それが出来るように意識して努力を重ねればいつかきっと出来るようになります。
 一朝一夕で身につくような技術ではないと思いますし、最早それが出来たらガチのプロ実況者じゃんみたいな習得難度の高い特殊技術だとは思いますが、是非ともこれから意識して伸ばしていって欲しい技術だと私は思っています。ぷよを盛り上げる為に、是非とも!

 そういうことなので、実況者の仕事は試合を面白く演出することだという意識を持ち、是非とも試合の終わり方盛り上がりの強弱を気にしてみて下さいということで。


●実況の重要性 

 これまで私は自身の記事で散々主張し続けてきましたが、ぷよの盛り上がりには実況が最重要だと思っています。
 これからどんどん人を取り込んで盛り上がろうというのであれば、まだぷよの楽しさを理解していない人に理解させてあげる必要があります。
 しかし、ぷよを知らない人は試合を見ても理解が出来ないのでイマイチ盛り上がれません。
 その理解を助けてあげなくてはならないのが実況であり、実況が一番見られている実況が新規の行方を左右しているという理屈です。
 ですので、理解を助ける役割は元より実況が面白くないと新規に楽しんで貰えませんし、中々盛り上がってはいかないと私は思っています。

 しかし、新規にとってしてみればぷよ実況の善し悪しなんて分かりませんし、そんなの関係ないのです。
 盛り上がりに欠ける実況をしてしまったとしたら、新規の感想は『今日は盛り上がりに欠けるな』ではなく『ぷよはあまり盛り上がらない競技なんだな』になってしまいます。
 つまり、ぷよの実況の善し悪しがそのままぷよというコンテンツの評判に繋がっていると見ていい、と私は思っているのです。
 実況が盛り上がれば『ぷよ=盛り上がるし面白い』になりますし、特に盛り上がることもなければ『ぷよ=盛り上がらない』となります。
 私視点、それほど実況は重要なんです。

 それだけ重要にも関わらず、実況の善し悪しはいまだにふわふわしている感じがしています。
 私的には音楽や脚本に通じるモノがあるのかな、と。
 人によって受け取り方が違うので良いも悪いもない、正解のないもの……みたいな。
 だとすれば、良くしようにも何を良くすればいいのか分かりません。
 それだけ重要で良くしなければならないにも関わらず、です。
 難題です。

 そうなった時にもっと『実況』を深掘りして考えを突き詰めていくのが大事なのかなと思いました。
 音楽は人によって感じ方が違うので、同じ曲でも良いと感じる人と良くないと感じる人がいます。
 しかし、不協和音連発の音楽を良いと感じる人は多くないです。
 良いとされる曲には一定の法則、コード理論があったりします。
 脚本もデタラメに書けば良いというものではなく、ちゃんと起承転結がある方が見ている方は楽しめます。
 実況にもそういった根源的な原理があると思うので、それを考えていく必要があると思うのです。
 逆にそういうものを考えていかず、個人によって聞こえの違う良い悪いの感想を鵜呑みにしていると、いつまでたっても実況のレベルは上がっていかず、コンテンツも盛り上がってこないんじゃないかなと私は思っています。
(10人は声に出して「良かったよ!」と言ってくれるが、残りの1990人は何も言わないだけで実はつまらなかったと感じてしまっている実況を続けてしまうなど)

 ここまで述べてきた通り、現状ぷよ実況の技術はまだまだ足りない、逆に言えばまだまだ飛躍的に伸びる余地があると私は思っています。
 もっと全然多くの人を巻き込める余地が残っている!
 私自身Tomさんやmomokenさんの実況をめちゃくちゃ楽しいと思っていますし、めちゃくちゃ素晴らしいとも思っていますが、一歩引いてプロの実況のかたと比べると技術的にはやっぱりまだ違うなという所も見えています。
 今実況を担当されているかた達にそういった技術がついていくと、どれだけ楽しく盛り上がれるものになれるんだろうと想像出来ます。
 安定して試合が盛り上がるように演出出来れば、同接1万なんか簡単に越えられるレベルのコンテンツになることでしょう。

 ぷよを盛り上げるとなった時、マッチメイクや舞台演出なんかも重要ですが、それよりも力を入れるべき所は実況解説の伝え方、盛り上げ方の研究なのかな、と私は思いました。
 
 ここまでかなり断定的に私の考えを記述してきましたが、冒頭で述べた通りそれが正解なのかどうか(そうすることで本当にレベルアップ出来るのか)は分かりません。
 ただ、少しでも実況を考えるきっかけにはなってくれるのかなと期待しています。
 この記事を見た実況者さんもそうでないかたも「なるほど、やってみよう」とか「そうじゃない、こっちの方がよくね?」と考えることで、それが煮詰まっていき『こう実況すると良い、盛り上がる』みたいな『良い実況像』がおぼろげながらでもぷよ界に出来上がっていくと良いなと思います。
 それに少しでもこの記事が貢献できるのであれば、私は本望です。
 ぷよがもっと盛り上がるコンテンツになるよう、応援しています♪
 

●まとめ 

 勢いで書き殴ってしまい、言いたいことがあちこち散らかってしまったので、この記事の主張をまとめてみます

・視聴者によせた実況を心がけると良い(勝敗の鍵となる所)
・視聴者は実況の言葉に視線を誘導される(ので、ちゃんと言葉に出して誘導してあげる)
・解説より実況、過去のことより今のこと(これからのこと)(実況の語彙、言い回しを意識)
・解説は入れるタイミング、尺の塩梅が大事(実況すべきことはちゃんと実況した上で)
・実況は演出(試合を通して盛り上げる所とそうでない所のメリハリ、強弱、最後の締め方)
・ぷよを盛り上げる一番の鍵は実況解説の技術を伸ばすこと(なので、実況を色々な角度から分析して考え、良い実況像を作り上げていこうぜ★)
 
更新日時:2021/11/15 02:53
(作成日時:2021/11/15 02:47)
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日記
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