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ツモ配置を表す記法の規格化

by
あじ
あじ
ツモの置き方を表す記法は人それぞれですが,場合によっては認識の違いが生じることがあります。
この投稿は,「お互いに考えを確実に伝達し,本質的な議論をしましょうよ」というお話。
長文が苦手な方は,画像周辺と,「3. おわりに」の後半を読むと大体分かると思います。


目次
1. はじめに
2. 開発した記法
 2-1. 色記法(色に重点を置いた記法)
 2-2. 操作記法(操作に重点を置いた記法)
3. おわりに



1. はじめに
 Twitterにて,「このツモの捌き方募集!(画像を貼る)」というツイートを見かける。それを見た人が捌き方をリプライで提案するのだが,その時のツモの置き方を表す記法は人それぞれである。例えば,「4列目に青(親ぷよ)を下にして縦置きする」という配置をこのまま書く人もいれば,以下のような表現をする人もいる。

・青下4タテ
・4タテ
・4-3 (親ぷよを配置する座標。この例では,4列目3段目に親ぷよの青を置くということを表す)



 特に後半2つは端的な記法で,ある程度実力のある人なら使いやすいだろう。しかし『どちらを下にするのか』は暗黙理であり,初心者や,話者と実力差がある人にとっては分かりにくい。そして,この暗黙理がゆえに話者と聞き手に認識の違いが生じ,後の議論が滞ったり,「すみません,青が下ですか?」「はい,そうです」と無駄なリプライのラリーが増えることが考えられる。
 また,Twitterのツイートには150文字の制限があり,可能な限り少ない文字数でツモ配置を表現するほうが効率が良い。かといって例えば,「親ぷよを下にする縦置きを『A』とし,さらに列番号を記す」というルールを決めたとして,「A3」というように極端に文字数を減らせば良いかというと,そうでもないだろう。この記法は自然言語とかけ離れているために,慣れていないと分かりづらく,また,何よりルール自体を覚えるのが大変だろう。



 そこで本投稿は,「必要な情報量を保持し,簡単で使いやすく,より少ない文字数でツモ配置を伝達できる,統一化された記法」の開発を行う。なお,今回開発した記法は巷で使用されるものを踏襲した部分があるので,「開発」は誇張表現かもしれないということを断っておく。また,最後まで読んで「堅苦しい文章でまとめて来たかと思えば,別に目新しい記法じゃないじゃーん」「期待して損した」と思う方が出るかもしれないのでこれも先に断っておくが,あなたがそう感じる理由は,ここで開発した記法は全て,自然言語と親和性を持たせた記法であるからである。逆に目新しい記法の方が一般に使いにくいだろう。


2. 開発した記法
 今回,2つの記法を開発した。1つは,「色記法(色に重点を置いた記法)」であり,配置後のイメージが掴みやすい記法である。もう1つは,「操作記法(操作に重点を置いた記法)」であり,色覚多様性の当事者の方とのコミュニケーションでも有効なバリアフリー記法である。
 ここで,説明に使用する用語の確認をしておく。

・列番号:左から1列目,2列目…と数える。全部で6列ある。
・親ぷよ:回転の軸となるぷよ。出てくるツモの下にあるほうのぷよでもある。軸ぷよとも呼ばれる。




2-1. 色記法(色に重点を置いた記法)
【ルール】
○縦置き
「注目すべき色」+「上下」+「列番号」
*ゾロの時は「列番号」+"タテ"と表記する。
○横置き
「左の色」+「右の色」+「左の列番号」+「右の列番号」
*ゾロの時は「列番号」2つのみで良い。

【使用例】

最初→1タテ→緑下2(青上2)→45→赤緑45

【利点】
・色に重点を置くことで,配置後のイメージが掴みやすい。
・記法のルールを知らない人でも容易に意味を推測できる。
・どの置き方の表記においても,誤って1文字が欠けたり余分に1文字追加されても別の配置を表す表記に変化せず,「意味が通じない表記」となる。(例えば,「赤緑45」という表記で誤って1文字が欠け,「赤緑4」「緑45」となっても他の置き方を表さない。また,誤って1文字追加して「赤緑456」となっても他の置き方を表さない。)
・ゾロを縦置きする場合,伝達すべき情報は「列番号」を記すだけで十分であるが,敢えて"タテ"と明記することで,例えば,3列目に縦置きする「3」と,3・4列目に横置きする記法の「34」で誤って4を消してしまったときの「3」を区別できる。

【欠点】
・色覚多様性の当事者の方とのコミュニケーションの場面では有効でない。設定から色調整をしたとしても,色の見え方は当事者とそうでない方で異なるだろう。


2-2. 操作記法(操作に重点を置いた記法)
【ルール】
○縦置き
・そのまま置く→「列番号」のみ
・半回転させる(裏返す)→「列番号」+"裏"
*ゾロの時は「列番号」のみで良い。
○横置き
・右に1/4回転して置く→「親ぷよの列番号」+"右"
・左に1/4回転して置く→「親ぷよの列番号」+"左"
*ゾロの時は「列番号2つ」でも良い。
*「5右」は親ぷよが左にあるのに「右」と記すのは違和感がある,という人がいるかもしれないが,「ツモを5列目まで動かし,右回転ボタンを1回押す」と考えれば,違和感が和らぐだろう。

【使用例】


最初→1→2裏→45→5左

【利点】
・色覚多様性の当事者の方とのコミュニケーションでも有効。
・頭の中で動かして考えるタイプの人には分かりやすい。

【欠点】
・表記の1文字でも欠けたり余分に付加されたりすると,意味の異なる表記となってしまう。


3. おわりに
 今回は,話者間の認識の違いを未然に防ぐことや,ツイートの字数を有効活用することを目的として,「必要な情報量を保持し,簡単で使いやすく,より少ない文字数でツモ配置を伝達できる,統一化された記法」の開発を行った。それにより,「色記法(色に重点を置いた記法)」と「操作記法(操作に重点を置いた記法)」の2種類を開発した。どちらも自然言語と近いため,使いやすく読みやすいものとなっている。また,前者は配置後のイメージがしやすく,1文字までなら入力ミスを受容できるという利点がある一方で,色覚多様性の当事者の方には使用が難しい仕様となっている。だが,後者の記法ではこの点を克服し,バリアフリーな記法となっている。
 では「色記法」と「操作記法」のどちらを使えば良いのか?最終的には個人の判断に委ねるが,私の意見としては,「色記法」を優先して使うのが良いと思う。やはり自然言語に近い記法にしてあるので,記法のルールを知らない人が相手でも意味が分かる(と思われる)という点が,とても大きなメリットだと感じる。

 ここまで書いておきながらなんだが,リプライで捌き方を提示するのに最も有効な方法は画像で提示する方法だろう。百聞は一見に如かずであり,ぷよぷよというゲームの特性上,見た方が早いし誤認も防げる。しかし,「手元のシミュレータに打ち込み画像を保存し,リプライに貼り付け送信。以後不要なら端末のメモリから画像を消去する」という一連の作業よりも「リプライに配置方法をテキストで書き,送信」の方が負担は少ないので,後者による伝達方法が多くの人に好まれる。だがそれが誤認の温床となってしまうのだ。
 この投稿がきっかけで,今後分かりやすい記法を心がけるぷよらーが少しでも増えたり,より良い統一化された記法が提案されたりすれば,筆者は嬉しく思う。欲を言えば,今回開発した記法が普及したりなんかすれば,嬉しすぎて天を仰いで踊り出したくなる。
更新日時:2021/04/07 21:44
(作成日時:2021/04/05 19:19)
カテゴリ
日記
コメント( 2 )
アイソスタシー
アイソスタシー
2021年4月5日 19時31分

簡潔でかつ分かりやすくて良いと思います!
僕はまさに色記法に近い表記を使っていました!

あじ
いりみど
いりみど
2021年4月5日 19時44分

すばらしい。ありがたいです。
ただこの表記法は別に配ぷよのリストがあることが前提なので、そうでない、配ぷよと一体化した表記法も望まれると思いました。

あじ
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