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ツモの確率の雑記:ハチイチは1/8ではない

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hides_puyo
hides_puyo
こんにちは。
早稲田大学の公認サークル「戦技研」に所属しています、hidesといいます。


本記事のテーマは、配ぷよの確率についてです。
ふと思い立って計算した確率をとりあえずアウトプットしておこう、というのがこの記事を書いた目的ですので、肩の力を抜いて読んでいただけると嬉しいです。


さて、「特定の2色を含むツモが来る確率は?」と聞かれると、ぷよらーなら「1/8」という答えが浮かぶと思います。しかし、この確率は「1手ごとのツモの色決定が独立な試行である」という前提における計算です。
(※独立とは、ツモの色決定の結果が、他の回におけるツモの色決定の確率に影響を及ぼさない、という意味です)

知っている方も多いとは思いますが、ぷよスポにおける配ぷよは128手で1ループし、1ループ中に含まれるぷよ計256個は4色に64個ずつ等分されています。1ループ中のどこかで特定の1色が多く来たら、その後必ずその1色が来る確率は下がるはずなんです。確率の問題でありましたよね、「袋の中に赤い玉が3つ、青い玉が2つ入ってます。取り出した玉を戻さないとして、2個目に取り出す玉が青である確率を求めなさい」みたいなやつ。あれと同じで、配ぷよの色は「始めに赤、緑、青、黄の玉が64個ずつ計256個入っていて、ここから玉を2つ同時に取り出す。一度取り出した玉は袋に戻さない」という風に決まっていると考えることができると思います。

何が言いたいかって言うと、下線のルールが適用されている場合、1手ごとのツモの色決定は独立な試行ではないということです。

じゃあ独立な試行じゃないなら確率がどう変わるのか、実際の数値を見てみましょう。

 
Table 1


Table 1は「1手目において各ツモパターンになる」確率を表した表です。ツモの色決定が独立試行であるならば、ゾロが来る確率は常に4/16=1/4=25%です。しかし、この表によると、1手目がゾロになる確率24.71%であると示されています。

確率が食い違う理由を理屈で説明すると、「1手目のツモがゾロになる」ことは「256個の玉が入った袋から玉を1つ取り出し、続けて同じ色の玉を取り出す」ことに言い換えることができます。1個取り出した玉が赤だったとして、残り255個中63個残っている赤を引けば赤ゾロに、255個中192個残っている緑・青・黄の玉を引けば2色になります。したがって、1手目がゾロになる確率は63/255=24.71%となり、25%より小さくなります。

同様に、1手目が2色(いわゆるAB)になる確率は192/255=75.29%となり、12/16=3/4=75%より大きくなります。2色ツモは全12パターンであり、特定の2色を含むツモは全2パターンなので、75.29%×2/12を計算すると12.55%となります。つまり、1手目においてハチイチが来る確率は1/8=12.5%より大きい、ということがわかります。

1手目がゾロ、2色になるそれぞれの確率を踏まえて、2手目の各ツモパターンの確率を見てみましょう。

 
Table 2


1手目がゾロであったか、2色であったかで場合分けしました。左から2列目にそれぞれのツモパターンを記述してありますが、わかりづらいので一番右の列にツモパターンを文字で示してあります。2手目においても、ゾロになる確率、2色になる確率は変わらないようですね。

しかし、ここで配ぷよに関するさらなるルールが適用されます。ぷよスポにおいては、2手以内に4色目は出てこない(つまりAB CDパターンは出現しない)ようになっています。

なので、赤枠で囲ったパターンを除外して確率を計算し直したものが下記のTable 3になります。

 
Table 3


1手目と比べて、2手目がゾロになる確率27.42%に増加しましたね。それに伴って2手目が2色になる確率72.58%に減少しています。また、2手目においてハチイチが来る確率は72.58%×2/12=12.10%となり、1/8より小さくなっています

せっかくなので、初手2手までの各配ぷよパターンになる確率をまとめてみましょう。

 
Table 4


という訳で、「配ぷよは128手ループで、ぷよの個数は4色それぞれに等分される」「2手目までに4色目は出てこない」という2つのルールの下において、初手2手における各配ぷよパターンの出現確率はTable 4の通りになります。AB ACパターンになる確率が4割超えということで、相当な頻出パターンであることが伺えます。AB ACパターン・AA BC/AB CCパターンは捌き方を自分の中で決めておくことが特に大事そうですね。逆に2手全消しのAA  AAパターンになる確率が1.45%しかないのは感覚より少ない印象でした。


さて、この記事では、ツモの色決定が独立な試行とならない制約においては各ツモパターンになる確率がどうなるのかを確認しました。ただ、3手目以降の確率については計算ができていないので、ここでひとまず記事を終えたいと思います。

おそらく、n手目におけるツモがゾロ/2色になる確率はnを含む式で表せるんでしょうけど…面倒そうというのが正直なところ。仮に一般項を導出できたとして、式によって算出されたn手目におけるツモがゾロ/2色になる確率と、ぷよスポ実機においてn手目におけるツモがゾロ/2色になる確率は必ず一致するとは限りません。なぜなら、ぷよスポ実機において出現する配ぷよパターンは全部で65536通りしかなく、(多分)試合開始時にその中から配ぷよがランダムに決定されるからです(参考元)。なので、例えば「n手目が赤ゾロになる」確率は「n手目が赤ゾロである配ぷよが選ばれる」確率である、という身も蓋もない結論になってしまいます。という訳でTable 4に示した初手2手における各配ぷよパターンの確率も、あくまで理論上のものと捉えていただければと思います。


長々と書いた割に大したことが分かっていませんが、雑記なので許してください。次回の記事では、なんでこんな確率を計算しようと思ったのか、きっかけとなったとある検証について書けたらと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

(11/14追記)
続きの記事を書きました。
よろしければこちらも併せてお読みください。









(余談)
Table 1,2の最上段ボールド体で書かれた総数についてですが、1つのツモにおける軸ぷよ子ぷよ、加えて同じ色のぷよ64個も全て区別した上で算出したものです。その後、同一のものとみなせるものを足し合わせて確率を算出しています。筆者がそういう風にしか確率を計算できないのでこんな回りくどい方法をとっています。特に2手目の確率を計算するときは1手目、2手目の組み合わせ全パターンの総数をいちいち計算しています。
その計算の跡がこちら↓

確率の問題で樹形図全パターンを書いて強引に確率求めるタイプですね。全然スマートじゃない…。
更新日時:2019/11/14 15:06
(作成日時:2019/11/05 16:31)
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