「初心者に先折りGTRを勧めるかどうか」というぷよぷよ界永遠のテーマ(?)に最近また注目が集まっているようなので、材料の一つになればと思い、自分がぷよぷよを練習し始めたころの実体験を振り返つつ考えてみたいと思います。
ぷよぷよを最近始めたという方にも、少し参考や励みになるかもしれません。
ちなみに、自分は
階段・鍵積み→GTRという順で練習した人間で、経験的には
「初心者にいきなりGTRは確かに難しいが、階段を卒業するのはもう少し早くてもよかったかも」という感覚を持っているので、その辺りを自分の体験をもとに記してみようと思います。
ぷよぷよを初めてプレーしたのは
12年近く前です。当時律儀に記録を取っていたので、それを掘り起こしてみます。
2013年5月12日、僕は近所の電気屋で
Windows版「ぷよぷよフィーバー」を買い、自宅の
PCで練習を開始しました。ちなみにぷよぷよを買ったきっかけは、ニコニコ動画で
ALF対かめの動画(
Tomさんが実況して
100ー
99で決着した有名な試合です)を見て、いたく感動したからでした。
当時は、初心者用の講座動画やゲーム内のレッスンモードもなく、僕が練習のために見たのは
「ぷよぷよ講座」というサイトでした。古いサイトですが現存し、久しぶりに見直しましたが、とても説明が丁寧で今でも有用だと思いました。ここで「連鎖入門」として載っている「階段積み」「鍵積み」「折り返し」というのを順番に練習しました。
まず階段積み
5連鎖、そして鍵積み
6連鎖は、ゆっくりなら割とすぐにできました。成功率を高めてスムーズにできるようにと
10日ほど反復練習しました。最初の頃は漠然と
「10連鎖を撃てるようになりたい」という目標を持っていて、
5~
6連鎖の成功率・速度はまだまだでしたが、少しずつ慣れてきたので
7連鎖以上のための「折り返し」もやってみようかなと思い始めました。
2013年5月21日、僕は折り返しを練習に取り入れ始めます。まず階段積みの折り返しからやり始めました。サイトを見て形を覚え、なんとか「折り返し」らしきものを作って打つことを繰り返しました。
が、ここで一度目の「壁」が訪れます。折り返し自体は作れるものの、
ゴミぷよが多くなりすぎて、折り返してすぐ発火することになり、何度やっても8連鎖どまりという状態が続きました。ゴミが多くなる原因は、土台部分の
5連鎖のみの練習と違い、折り返しを意識することで、
「必要な色の把握」を複数個所で同時に行う必要が出てきて、思考が追い付いていなかったからだと思います。
8連鎖どまりの状態は3週間近く続きます。不器用な僕は「まず階段
10連鎖を一度でいいから撃つ。でなければ鍵積み
10連鎖の練習を始める資格はない」と自分に
謎の制約と誓約をかけ、半ば意地になって毎日練習を続けました。
2013年6月10日、苦心の末、初めて階段積み9連鎖が撃てました。だんだんゴミが少なくなっており、「噛み合えば
10連鎖も行ける」というのは確信していましたが、上述の「必要な色の把握」という観点で階段積みの折り返しの複雑さにさすがに疑問を持っていました。階段積みは、折り返しの
1列目に突っ込む色とそれを伸ばすために挟む色、さらに
1列目の上から落としてくるべき色が
2色と、
当時初心者の僕には死ぬほど複雑に見えていた記憶があります(ぶっちゃけ今でも複雑だと思っています)。階段は
9連鎖で一旦諦め、鍵積みの折り返しを練習することにしました。
2013年6月19日、僕は人生で初めて10連鎖を撃ちました。左折り鍵積みでした。初めての
10連鎖に実はさほど感慨は覚えなかった気がします
(笑
)。噛み合えば撃てるというのはすでに十分にわかっていたし、5連鎖にしろ
10連鎖にしろ単に「
1度撃てた」ということには大きな意味はない気がしていたからだと思います。重要なのはとにかく成功率と速度だと…。もう
10連鎖撃つなら階段より鍵積みの方がいいという考えになっていて、鍵積みメインで反復しながら
11連鎖以上をめざす旅が始まりました。もう少しうまくなったら、サイトに書いてある「不定形」(今やもうほぼ死語?)と呼ばれる
GTRやだぁ積みをやってみようと思っていましたが、
ここで二度目の「壁」にぶち当たります。10連鎖より上がどうしても出せなかったのです。 いやここまで来たなら
1度くらいまぐれで
11連鎖や
12連鎖できてもいいものだろうと今でも思いますが、
なんとこの「10連鎖の壁」は、信じられないことに半年以上続きます。その間、階段と鍵の練度を高めるという自分への制約を続けていましたが、同じ形ばかりで飽きも出始めました。そして、
11連鎖以上をすらすら組んでいる上級者の動画を見ては、
「上手い人はあんな余裕ある位置から発火して13連鎖あるのに、自分は窒息ぎりぎりで発火してせいぜい10連鎖しかない。自分は絶対このゲームに向いていない。」と自分の下手さに呆れていました。
2013年10月2日、GTRの練習を始めました。GTRは連鎖尾部分のバリエーションが非常に多く、「同じ形を覚えて再現する」を繰り返していた自分だと、初めは後ろが常に鍵積みや2-2階段っぽい形になってしまい、無理やりこの形にしている気がするという自覚がありました。今思えば最初は別にそれでも問題なかったと思いますが、当時は、
GTRにするからにはもっとツモに合わせた理想の形があるはずだという後ろめたさのようなものを感じていました。この後ろめたさを解決するためには、連鎖尾のバリエーションをとにかく覚えて「今回はこれ」と自然に捌けるようになるように練習するしかなかったです。そしてこの練習にはゴールがない気もしています(今も続いている)。
2014年1月11日、初めて11連鎖を撃ちました。先折りGTRでした。10連鎖→11連鎖に実に7カ月近くかかったことになります。そのあとは比較的スムーズで、記録によれば、
2月
1日に
12連鎖、
2月
9日に
13連鎖、
3月
14日に
14連鎖が撃てました。
ちなみに、
2014年
3月
11日、初めてオンライン対戦に潜りました。ぷよぷよを始めて実に
10か月のことです。初めての対人戦は、
15戦やって
4勝
11敗。最大連鎖は
9連鎖。「やっぱりまだまだダメだな」と思った僕は、また独り連鎖の練習に帰っていくのでした。
さて冒頭の話に戻ります。 今、タイムマシンを使って過去の僕に会いに行けるとして、
GTRを教える時期の候補が主に3つあるのだと思います。
① 2013年5月12日の自分(ぷよぷよ購入直後)
② 2013年5月下旬頃の自分(8連鎖の壁)
③ 2013年6月下旬~10月頃の自分(10連鎖の壁)
GTR推奨派の人は①となるのだと思います。
将来的にもっとも使いやすい土台はGTRといっても今や過言ではなく、参考動画も溢れているので、この形から覚えましょうという考えで、一理あると思います。実際にそのようにして、僕と比べ物にならないほど早く上達した人も結構いるはずです。ただ、「
GTR」は折り返し部分の
2連鎖を指すに過ぎないため、上述の通り、後ろの形の多岐に渡るバリエーションを覚える必要があり、その上でツモに逆らわずに形を選択する難易度は正直めちゃくちゃ高いのではないかと思います。よほどパズルゲーム適性がない限り初心者には酷なのは間違いなく、GTRスタートというのは、もちろんなしではないものの、
割とハードモードな練習法だとは思います。
②は、土台の
5~
6連鎖は出来たが折り返しの構築に手間取り、連鎖が伸ばせない時期でした。
GTRは折り返しとしてのコンパクトさが最大の利点だと思うので、ここでの処方箋に適しているという説があると思います。個人的にもかなり有力だと思いますが、
GTRの連鎖尾や折り返しの上を伸ばすことを考えると、定型(特に鍵積み)でも連鎖の仕組みを理解してある程度スムーズに組めるようになっておく方がいい気はします。
僕の場合、8連鎖の壁は3週間続いていますが、この3週間はそのために必要な時間だったかなとも思ってます。
僕は自分の過去を変えたいとは特に思っていなく、12年経った今でもぷよぷよを楽しみとして続けているので別にタイムマシンを使えたとしても使う気はないです。ただ、その上で強いて言うなら、
さすがに定型10連鎖の壁で足踏みしすぎたのでは(普通の人ならここでこのゲームをやめているのではないか…)と思っているので、もしGTRを教えるなら③です。鍵積み
10連鎖出来たくらいのタイミングで、すぐに
GTRの練習にも着手していれば
11連鎖するのに
7か月かかることはなかったのではないかとは思っています(確証はありませんが…)。
今回昔の記録を見返していて、そういえばそうだったなと思ったことが一つありました。最初の頃の自分はぷよぷよを
PCのキーボードで行っており、やりづらさを感じて
2014年
1月
6日にコントローラを買っています。つまり、実に半年以上慣れないキーボード操作でポチポチと連鎖の練習をしていたのでした。
さきほどタイムマシンを使う気はない、もし使うなら③と言いましたが、訂正します。タイムマシンの行先は①。
2013年
5月
12日の僕に会いに行き、そしてこう言います。
「電気屋ではソフトと一緒に
USBゲームパッドを買え」と―――。
(2025年3月16日 ゆすと 記)