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書籍から見る用語や戦術の歴史 その6

by
ヌリトオ
ヌリトオ
さて、本日取り上げるのは、
勁文社『ぷよマスターへの道』
1995年7月5日第1刷発行
奥付には、協力/全日本ぷよ協会(AJPA)とあります。

それでは、目についたところを適当に羅列していきましょう。

「感覚連鎖」
「ある程度高くぷよの山を積み込んで、その横からぷよを消して、山が崩れたときに起こる偶然の連鎖を感覚連鎖と言う。」
「こちらは右3列を積んでから、左から山を崩す「カエル(のほほ)積み」

「感覚連鎖」のルビは「フィーリング連鎖」である。
「カエル積み」か「のほほ積み」かは、どちらでも良かったらしい。


「同時消し 多数消し」
現→マルチ、多連結
「一度に複数色のぷよを同時に消すのが「同時消し」で、一度に6個も7個も消すのが「多数消し」」
「連鎖よりも得点やおじゃまぷよの数は劣るけど、連鎖に絡めて使うと効果絶大。」
「大連鎖が組めない人は、このテクニックをマスターしたほうがいいぞ」

連鎖に絡めるテクニックという認識だった。
「マルチ」、「多連結」の語はなかった。
「同時消し」は現在でも使用されている。


「積み込むための基本パターン」
「まずはパターンを暗記して、ひたすら練習にはげもう。」
「組み方と起爆点さえ理解すればすぐにできるようになるぞ。」

連鎖を組んでいくことが「積み込む」と表現されている。麻雀用語の影響か。
「発火点」を指して「起爆点」という語が使われていた。
これ以前では「挟み込み」は複雑な連鎖とされていたこともあるが、
ここではもう「すぐにできるようになる」となっており、基礎技術の向上が伺える。


「階段積み」
「この積み方は起爆点が高いのでおじゃまぷよに強く、起爆点が分かりやすいのが特徴。」

おじゃまぷよへの耐性という考え方はあった。


「はさみ込み連鎖」
「これはムダぷよをあまり出さずに、臨機応変に仕掛けを伸ばしていくことができるが、一歩間違うと自分でも起爆点がどこだか分からなくなる欠点がある。」
「ぷよをある程度やり込んだ上級者向けの積み方といってもいいだろう。

「はさみ」は平仮名表記だった。
挟み込みはやっぱり上級者向けだった。
ここでは「カギ積み」の語は使われていない。


「サンドイッチ連鎖」
現→座布団
「階段連鎖を横にしたほうな形の「サンドイッチ連鎖」。」
「はさみ込み連鎖と階段連鎖の要素を持っており、なおかつ起爆点が高い位置にあるので応用次第でかなり連鎖を伸ばすことができる。」


完全に座布団。
ここでは1段目から積む連鎖のパターンとして紹介されているが、多重折りの原型だったのかもしれない。
挟み込み連鎖の要素はたしかにあるが、階段連鎖の要素は不明。


「ちぎり」
「たいしたことないテクだと思われるかもしれないがこれは重要。」
「まん中で、切れて、必要なぷよとそうでないぷよを分けることができる」

「ちぎり」はテクニックという認識だった。


「リサイクル連鎖」
「大連鎖の後には必ずゴミぷよが出る。だったら、初めからそれを想定して積み込みを行っておけば、次の連鎖が組みやすくなるのは必然である。」

「セカンド」に近い概念のようにも思えるが、連鎖量や積み方などの具体例は無い。
また、必ずゴミぷよが出ると記載されていることから、「雪崩」や「散らし」での全回収は一般的ではなかったと考えられる。


「折り返し」
「6連鎖以上を作るときに必須なのが、パターン連鎖をタテに伸ばして、床と天井の間ではさみ込みを行うテクニック「折り返し」である。」

「土台」と「折り返しの上部」を指して、「床」と「天井」という語が使われていた。


「起爆点は高くしよう!」
現→発火点
「ぷよぷよは基本的に対戦ゲームなので、相手の攻撃を想定しておじゃまぷよに強い仕掛けを作るように心がけよう。」
「起爆点は高く複数作るのが理想的である。」

「受ける」といった語はないが、おじゃまぷよに耐えられる高さがあるのが良いとされていた。
「2色発火」の語はないが、複数の発火点を作るのが良いとされていた。


「ゆうれい連鎖」
現→幽霊連鎖
「ぷよぷよのフィールドは、6×12の72マスであるが、実際にはその一段上に見えない13段目があるのだ。」
「これを利用したのがゆうれい連鎖である。」

「ゆうれい連鎖」のゆうれいの表記は平仮名だった。


「2連鎖はこんな効果がある」
「攻撃には頼りないが、守りには効果アリ!」
「対戦が長引いた時に起こりがちな、おじゃまぷよと普通のぷよが入り混じったカオス状態で速攻、即興2連鎖が組めれば、自分は有利になり、相手にはいやらしくおじゃまぷよを降らすことができるぞ。」
現→アドリブ

攻撃には頼りないと考えられていたため、短い連鎖での「潰し」や「催促」は一般的ではなかったと考えられる。
定型外の連鎖を指して「即興」の語が使われていた。
口語だと「速攻」と聞き間違える可能性があるため、「即興」の語は使われなくなっていった、のかもしれない。


「あえて使い道を探すと」
「対戦の序盤に2連鎖を使う状況は、はっきりいってあまり無い。」
「2連鎖程度のおじゃなぷよでは、致命傷にならないからである。」
「終盤ではダメ押し攻撃や粘りに使え!!」
「2連鎖の最大の魅力は、少ない手数で素早く仕掛けが作れるところである。」
「他にも連鎖の使い所としては、大連鎖の後の追い討ち攻撃がある。」
「2連鎖を連続で作り、相手の立ち直りのチャンスを潰すのだ!」

序盤での「潰し」は効果が無いと考えられていたものの、終盤の攻撃手段としては薦められていた。
「おいうち」の表記は「追い討ち」だった。
「追い撃ち」か「追い打ち」かも悩むので、どの表記にするべきか有識者の意見を求めたい。


「特におじゃまぷよがある場合は、消えたときに生じる段差を考えて積み込まなきゃダメだよ。」

「段差計算」の語はないが、おじゃまぷよがある場合の連鎖の難しさについては触れられていた。


「3連鎖を作ってみる」
「相手の積み込み具合をよく見て、連鎖を発動させるかどうか考えよう。」

「凝視」の語はないが、発火前に相手フィールドを見て判断することが薦められていた。


「起爆点が低い位置にある積み方をしている相手には、起爆点を潰せる非常に有効な攻め手である。」
「しかし、相手が上級者の場合は、第二波、第三波と連続して攻撃を仕掛けていかないと、簡単に復活を許してしまうことになるぞ。」

「潰し」の語ではないが、短い連鎖で「起爆点を潰せる」という考え方はあった。
ここでは3連鎖程度を例に挙げているため、「セカンド」や「サード」とは異なるが、「第二波」や「第三波」という語は使われていた。


「状況を考えて送るべし」
「3連鎖を効果的に使うには、相手の動きをチェックして発動するタイミングを見極めよう。」
「相手の起爆点の高さをチェックして、ムダにならないようにぷよを送るようにしよう。」
「相手の積み込み具合をチェック(できればNEXTも)」

「凝視」の語はないが、相手の動きや高さによって攻撃のタイミングを見極めることが薦められていた。
相手フィールドだけでなく、「相手のネクスト」までも見るという考え方はあった。


「発動タイミングの見極めが重要だぞ!」
「対戦序盤での3連鎖は、相手が仕掛けを発動させる前に仕掛けを潰す、といったような使い方をしよう。」
「この先制攻撃がうまく決まれば、自分よりレベルの高い人でも、互角に戦うことができる。」
「もっとも、追加攻撃をしないと仕掛けが掘り起こされ、結局は大打撃を食らうことになるが……。」
「対戦中盤以降では、3連鎖のおじゃまぷよを落とせば、ほぼ埋まる状況で使うのがベター。」

「凝視」の語はないが、どのような状況でどれくらいの攻撃をするか、といった戦術的な考え方はあった。


「2連鎖から3連鎖へのステップは、初心者から中級者へのステップである。」

3連鎖からが中級者への道。やさしい世界。


「はさみ込みはひとつまちがうと、起爆点がわからなくなる。どちらかというと、上級者向きの技だよ。」

はさみ込みは上級者向き。やさしい世界。


「念願の岩ぷよを出せ!」
「大昔、ぷよぷよが世に出始めた頃は4連鎖ができれば神様のように尊敬されたものである。」
「しかし、今では中級者程度にしか見てもらえないのだ!」

4連鎖でも神様。この本の出版が30年ほど前なので、技術の向上が著しい。


「4連鎖はこんな効果がある」
「4連鎖であれば、たとえ相手が起爆点の高い「川の字連鎖」を組んでいても、十分に起爆点を塞いでしまうことができる。」
「ただし、序盤でいきなり使うときは、相殺されないように注意して、連鎖発動のタイミングをうかがうようにしよう。」

「階段積み」を指して、「川の字連鎖」という語があった。
序盤での4連鎖は、相殺によって不利という考え方はあった。


「相手の積み込みをよく見て、ほぼ連鎖ができかけている時点で(少なくても連鎖が発動する2手前)こちらの連鎖を発動させる。」
「3連鎖では相手を混乱させるだけ。4連鎖は致命傷にならないまでも、かなりの手傷を負わせることができる。そして5連鎖が決まれば一発で相手を沈めることができる。」
「いつも配ぷよが良いとは限らない」

連鎖の完成前に攻撃するという考え方はあった。
「配ぷよ」の語はあった。


「「5連鎖がどうしてもできない」と、お嘆きの人は4連鎖を2色同時消しにするとか、消すぷよの数を増やすなどして連鎖のボリュームをアップさせよう。」
「これなら、4連鎖でも5連鎖分のおじゃまぷよを送れるぞ。」

「マルチ」の語はないが、「同時消し」や「多連結」でおじゃまぷよの量を増やすという考え方はあった。
連鎖数を減らすことで時間が短くなる、といった点にはここでは触れられていない。


「練習問題 4連鎖すべし」


ネクスト CE
ネクネク AB

「だぁ積み」っぽい形があった。


「ぷよ道において、5連鎖が組めるものと4連鎖止まりの人間では、月とスッポンぐらいの隔たりがあるのだ。ここが中級から上級への分れ道だぞ。」
「意図的に「ぶれいんだむど」で「のーみそぷー」ができればキミもとりあえず「ぷよぷよができる」を胸を張って言ってよしだ!」

5連鎖で上級者。やさしい世界。


「先手必勝!先制攻撃だ!」
「さすがに5連鎖までくると、おいそれとは押し返される心配はないので、積み込みパターンを完全にマスターするまでは、対戦序盤でさっさと積み込んでしまい、早めに発動させてしまう方がよいと思われる。」

5連鎖先撃ちが良いとされていた。


「後、初心者くん相手にぜひ狙って欲しいのが(この書き方ほとんど鬼だね)、相手にわざと2~3をやらせておじゃまぷよが落ちてきた後に、こちらの連鎖を発動させるという非道なテク(そんなたいそうなものではないが)である。あまりやると友達なくすけど。」

「カウンター」の語はないが、あえておじゃまぷよを受けてからこちらの連鎖を発火する、という考え方はあった。
しかし、そんなたいそうなものではない、とも考えられていた。


「6連鎖はこんな効果がある」
「これを完全とはいかないまでも、相殺して被害を少なくするのには、最低でも5連鎖は必要である。」
「よって相殺されることもまず(絶対ないとは言えないが)ないので、これが決まれば勝利は99%確定だろう。」
「しかし、相手が運悪く上級者だったりすると、連鎖の最中に反撃の連鎖を組まれて完全に押し返されてしまうこともあるのでたまらない。」

6連鎖はほぼ勝利が確定とされていたが、相手の「後撃ち」によって敗北するという例はあったらしい。


「ここぞとばかりにガンガン積み込んで、できるかどうかは別として、大連鎖にチャレンジしよう。」
「なにごとも経験が大切。失敗したら、どこで間違ったかをきちんと検証すれば、そのプレイはムダにはならない。」

チャレンジと見返し、座学は大事。


「6連鎖作りのポイントのひとつとして挙げておきたいのが、「NEXTの確認」である。」
「「ぷよぷよ通」なら、2手先までのぷよが分かるので、チラリとでも確認しておけば、レバーを下に入れて落下スピードを上げても対処できるようになるぞ。」
「NEXTを見て頭の中でイメージが浮かばないと、連鎖を伸ばしていくのは難しい。」

ネクストの確認は大事。


「練習問題 6連鎖すべし」


ネクスト CD
ネクネク CD
そのあと EE DE EE

「正解例」


用語としてはないが、「右折りGTR」の連鎖型があった。


「超連鎖はこんな効果がある」
「威圧感は十分!」
「しかし、相手が連鎖マスタークラスの場合は話しが別。かれらはこちらの連鎖中に反撃の連鎖を組んで全て相殺してくる。」

「先撃ち不利」のような考え方はあったらしい。


「超連鎖積み込みのポイント」
「その1・即興連鎖や折り返しを使う」
「即興連鎖とは、成り行きではさみ込みを使い連鎖を伸ばしていく方法。形が複雑になりがちで、慣れないうちは戸惑うかも知れないが、慣れてしまえば応用が効くので自由自在に連鎖を伸ばしていくことができるぞ。」
「ぷよ道を極めた者が最後に行き着くのがこの積み方。」

「即興連鎖」は最後に行き着く積み方とされており、「パターン連鎖」の大連鎖より、複雑な連鎖を使いこなすことが優れたこととされていたらしい。


「その2・NEXTを見てゴミぷよを少なく」
「ゴミ列を作るなんて問題外」
「ゴミぷよが多いと、思わぬ場所で消えてしまうことがあるので、NEXTをチェックしてムダを省こう。」

初心者の「パターン連鎖」の練習の際は「ゴミぷよ」の置き場所を作ることがむしろ薦められていたが、超連鎖に至って、ゴミ列を作るなんて問題外、と明記されている。


「練習問題 超連鎖すべし」
「出た! 理論上の最高連鎖。6×12のフィールドをフルに使っても、18連鎖止まり。あとは「幽霊」か?」

同じ書籍の中で「ゆうれい」と「幽霊」があるのはやめて欲しい。


「相殺&防衛的連鎖のススメ」
「おじゃまぷよの量は得点勝負。長い連鎖が常に勝つとは限らない」

この書籍内には「おじゃまぷよ算」についての記載はないが、連鎖数だけでなく、短く大きい連鎖の強さは認識されていた。


「同色・同時消しで点パネを!」
「同時多色消しの、極めつきのサンプル。2連鎖でも岩ぷよが出るが、実戦では至難の業か!?」


「点パネ」も麻雀用語。
「ヘルファイア」の語はないが、それらしい形はあった。


「消せる時は消せ!」
「また危険を感じた場合、積み込みの途中でもシカケを発動させたほうがいい場合もある。」

「対応」や「キーぷよ外し」の語はなく、相手の攻撃に対して完成していない連鎖で相殺するのは、仕方なく、という感じだったらしい。


「全日本ぷよ協会会則」
「第2条 (目的)」
「本会は、テレビゲーム「ぷよぷよ」のおもしろさを全国に知らしめ、普及させることを目的とする。また、広く一般より会員を募集して会員相互の理解と信頼を深め、フェアに対戦することを奨励し、かつ会員のテクニックの向上を目指す。」

たまたまなんだけど、これを書いているのがAJPA発足からちょうど30周年くらいなのでちょっと感慨深い。
私は長らくぷよぷよから離れていた時期もあるけど、実はちゃんと会員だったのです。
会員証どこにやったかなあ……。


AJPA(あじゃぱ)についての簡単な説明、全日本ぷよ協会会則、全日本ぷよ協会細則(大会ルールなど)が記載されているので、なかなか貴重な資料かもしれない。
作成日時:2025/11/21 21:51
カテゴリ
初心者向け
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