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教える上級者、教わる初心者

by
Rilium
Rilium
 本記事は、上級者がぷよぷよ新規参入者に連鎖を教える際に見落としがちなこと、ぷよぷよ初心者が連鎖を円滑に組めない理由を分析し文章化することを目指した記事である。ぷよぷよのeスポーツ化に伴い、新規参入者のより早い成長と、上級者が初心者により分かりやすくぷよぷよを教える方法の確立に寄与できれば幸いである。かなり長くなったが、無用な混乱をまねかないためにも一つにまとめることにした。(誰も読まなそうとか言わないで💦。)

小見出し
1上級者と初心者、需要と供給の齟齬
→教えた気になる上級者と実践できない初心者
2ゼロから連鎖を生み出すまで
→ぷよぷよの基本要素の理解
3気付かずに習得してしまう知識技術の弊害
→盤面における連鎖情報の引き出し方
4成長最短ルートの確立
→初心者に必要なこと

1[初心者講座の落とし穴(致命的な欠点)]
 現在、初心者講座と釘打って2,3連鎖程度の消え方を披露したり、最初から決まった土台を紹介したりする動画は数多く存在している。



 実際、それらは多くの場合初心者に見せるものとして正しく機能し、どれも初心者に必要な知識技術が披露されている。だが、一見各講座が''正しい''で構成されているからこそ、そこには見落としがちな落とし穴が存在している。連鎖を理解し自力で構築できるようになるための本質が見え隠れしている。

(よくある「本質」を問う素材)
物事を小さく捉え過ぎて、大きなことに気を配れない。逆もまたしかり。


(初心者→大連鎖画像=一直線)
(連鎖分かるマン→大連鎖画像=土台+連鎖尾+多重折り返し+伸ばし)

1[初心者がどういう風に連鎖を見ているか]
 まず、初心者が連鎖が見えるようになる過程を順に挙げていく。
①連鎖が何も見えない状態(自力で連鎖出来る箇所を発見出来ない)
上級者の大連鎖動画(対人でない)をみると
→大連鎖の過程を追えないため、「整地」=「なんか消してる」、「本線伸ばし」=「なんかフィールドが埋まってきてる、窒息しそう」、「発火して大連鎖」=「すげー、なぜかきれいに消えた。」に等しく、それ以上でもそれ以下でもない。
②連鎖が一部見える状態
連鎖の理解が深まり、単純であれば連鎖が繋がっていることを確認できる。




③上級者が何を組んでいるのか一部分かる状態



④特定の部分においてどのくらい連鎖があるか分かる

大体②,③位でぷよぷよの特性(=落ちる)を理解する→落下ぷよの予測
④で発火点検索と連鎖終了後の予測をするようになる
このくらいでよいだろう。④位までくると、受動的ではあれど、様々なところで連鎖が見えるようになる。実は、他人の連鎖を見ることが受動的理解であるという事実が重要だ。

★★★形の特性を理解する★★★
これが受動的には身に付きにくい。更に、表には出てき辛い概念なのが厄介を極める。ぷよぷよを教える立場の人間はこれを無意識に理解できているが、教えられる人間はまだ理解できていないため、ツモ判断の根拠を共有しづらい。限定されたフィールドでぷよを組み上げるための本質を理解する重要なトピックなので、後ろで解説する。

2,3[自力で連鎖を組む難しさ]
 自分で連鎖を組むとき、貴方は何を考えているだろうか。...何も考えていない?もしそれが事実なら誰でも初めから大連鎖を組めることになる。もっと条件を絞って、質問を変えよう。土台を組むとき、貴方はどんな知識を引き出しているだろうか。一つ、以下のような回答がある。

???:狙う土台(複数)をイメージしてツモを当てはめるだけだよ。



果たして、頭の中に土台のイメージ画像を思い浮かべるだけで連鎖が組めるだろうか。答えはノーである。実は、各色、形には想像以上に細かな条件付けがなされている。例として(横Y字)を挙げる。先折りGTRの中央やや右寄りに位置することが多い形だが、なぜ''この形''が''土台の中央''に位置するのか。ここで、ぷよぷよの列を12-34-56に分け、左から発火したとすると、このような順番でぷよが消えていくことになる。



横Y字、発火後のの形は34→56への連鎖の橋渡しの役割をしている。つまり横Y字は、単に連鎖の一部を担うだけでなく、34→56への連鎖の拡張に長けた形であるということだ。他の形も同様だ。逆L字+一個の形は34→56列目に連鎖を繋ぐ役割を持ちつつ、56列目に挟み込みの連鎖を作る鉤としても機能する。縦3+1個の形は列を跨いで連鎖を繋ぐことが困難である代わりに端の列(左折りなら6列目)を簡単に埋めることができる。

よって、どんな形であってもそれぞれに得意、不得意な役割が存在し、それらを生かしやすいフィールド領域も異なるという結論が導かれる。


↕差は歴然

(隣の列に連鎖を繋げづらい)
13×6=78マスに限定された枠内で連鎖をすらすら組めるようになるには、連鎖の形と、その形がフィールドのどの領域と親和性が高いかを知らなければならない。連鎖を操れるようになった人、もとい初心者を脱したぷよらーは、この知識を知らず知らずのうちに獲得し、コントロールしている。プロぷよらーlive(りべ)氏が様々な形で5連鎖を高速で組む練習をすべきだと主張しているのも、形の特性を短時間で膨大にストックすることが見込めるからである。連鎖(土台)を組むことは、このように、意識の奥底に隠れてしまったそれぞれの形がもつ特性の理解に支えられている。
(筆者は、連鎖の練習をするならば、小規模のめくり階段を練習すればいんじゃねなどと思っている。)


以下は、同じ5連鎖の土台である。
どちらの画像がより形とフィールドの調和がとれているだろうか。


ここでの考察は、中盤戦に用いられるいわゆる''強い形''や、連鎖が''伸ばしやすい形''の概念に深く関わってくるが、話が逸れるのでこのあたりで止めておく。


2[折り返しと連鎖尾に使う形は異なる]
シミュレーション能力以前の問題。初心者が、折り返しと連鎖尾の同時伸ばしを出来なくなったり、片方の存在を忘れてしまう原因だ。連鎖尾が組めるようになるには、形を丸覚えすればなんとかなる土台と異なり、潜り込みと挟み込みを習熟しなければならない。もちろん、シミュレーション能力自体は重要である。

[小題:良手↔悪手の基準]
ぷよらーは、対人戦において勝利を目指すようになると、自らの手順の向上を求める。相手より僅かでも勝利に近づくためだ。さて、いったい良い手悪い手の違いは何に起因しているのだろうか。ここで、手順の評価を本線構築一点に限定する。ぷよぷよは対戦相手が存在し、他に催促のしやすさ、対応の作り易さ、単発への強さなど複数の評価基準を生み出してしまうからだ。(し○かず氏などの連鎖手順が尖っていて分かりやすい。)
一つ例を示す。


(どちらも第二折り→折り返しの接続点の役割を果たしている。)

どちらが良手となりやすいだろうか。(人によるとか言っちゃダメよ。)この判断に、連鎖構築の可能性を狭めていないか、想定する連鎖の形に沿うものであるか、を用いる。左画像では次の連鎖に、挟み込み、階段、鶴亀が考えられるのに対し、右画像では挟み込みの選択肢が消えている。

よってこの場合、上記2条件を考えると左画像のほうが良手であったと考えられる。

以上より、連鎖を組んでいく本人にとってより多くの連鎖可能性を残せる手が良手になる。他人にとって一見悪手に見える手でも、本人にとっては良手である例はいくらでもある。上級者ほどこの許容領域が増え、扱える形が広がっていく。(他人の連鎖が理解できない現象が起こるのはここに起因する)悪手を結果的に良手にすることもできるようになる。(以上って言えるほど分析できてない気がするが。)


3[初心者≠上級者/13*6マスに収まるぷよぷよ]
 初心者が「大連鎖を組めるようになりたい。」というと、上級者は初心者に、よく「綺麗な土台を組みましょう。」という。この返答は解答足り得ない。初心者にとって、そもそも土台が綺麗な状態とはなにかが理解できていないからだ。そこで、上級者は初心者に、土台上にごみぷよの無い綺麗な土台を見せる。それでも初心者は連鎖を組めるようにはならない。綺麗な土台の作り方が分からないからだ。本線連鎖が発火され、ぷよが4つずつ消えていく様を消えるぷよに沿って眺めていたところで、連鎖構築への理解はいっこうに進まない。結論を言うと、そもそもぷよの置き方、置くための基準を知らないのだ。上級者が、「この初手は、ここに置いて、次はこの手順で...、出来た。」と出来るのは、脳内ですでに土台の完成形が予め存在しており、「ここにこの形を作れば連鎖が繋がる」と意識しながら連鎖の完成を目指せるからである。実は、初心者が上級者の土台構築の思考の一端を垣間見るための教材として、「ぷよぷよ20th」が存在している。連鎖の完成形を透過させ、ツモを当てはめていくがっこうモードである。(現役プロのdelta氏も推奨している。)
予め決まった形(土台)にツモを当てはめ、複数の選択肢を検討する練習として大きな貢献が見込めるかもしれない。(しかし、筆者の幼少期の記憶によると、フィールド全体を見渡して現ツモ・ネクスト・ネクネクの置く場所を判断する'基準'が分からず、そこまで当時の上達をサポートするものではなかったような気がする。あくまで古い記憶かつ私的な感想だが。)

4[初心者は何を望むか]
 つまるところ、初心者は「「土台の完成形」と「ツモ手順の決め方」」をセットで知るべきなのである。これらは二つに一つ、土台構築において切っても切れない関係にある。これら両方が満たされていなければならない根拠が最も顕著に現れるのが階段積みである。ぷよぷよを知る者ならば、階段積みを知らないものはいない。形だけならばあらゆる積みにおいて最も分かりやすく、連鎖の繋がりが理解しやすい連鎖だ。


(階段積み最強!19連鎖)

しかし、上級者は言う。「階段積みは難しいよ。」と。上級者の階段積み手順を見れば明確である。



見て分かる通り、明らかに決まった形を作らなければならない領域が大きすぎるのだ。この制約のせいで、階段と言う土台を組み上げるために多くのちぎりが発生し、階段の理想形を満たせないツモが多くなり、結果ごみぷよの処理に回らなければならない。階段連鎖の構築とごみぷよの処理を平行して行わなければならず、主に後者のせいで初心者の頭はオーバーヒートする。つまり、階段積みは「土台の完成形」を理解するのには適しているが、「ツモ手順」が難解なために初心者が実際に組む形としては実は最適ではないのだ。よって初心者が組むのは「土台の完成形」をイメージするのが簡単かつ、「土台に使えるツモ」を出来るだけ増やせる形が適切であると言える。こういった形の明快さと手順の難解さの矛盾から、最近になって初心者に最初から未確定領域(=融通の利く部分)が多いGTRを組むことを推奨するぷよらーが増えているのだろう。


(GTRの未確定領域)
しかし、初心者にとってはGTRでさえも宇宙と等しく無限の広がりを感じる。


4[ごみぷよの重要性とフィールドの未確定領域]
 連鎖を一通り理解し、土台を組む練習をする初心者は、ごみぷよの存在に絶えず悩まされる。土台に組み入れてよいツモ、悪いツモの判断がつかず、いつの間にか土台が凸凹してしまう。ツモがほぼ完全にランダムかつ土台時点で色の偏りが発生する以上、これは避けられない。上級者も土台完成時のごみぷよが少なくし、かつ土台上が平らになるように手順を研究する。初心者にとって、ごみぷよが中途半端に連鎖としての役割を持つせいで一層の混乱を誘っている。


              (セーフ寄りのアウト)

連鎖の方向性を手中におさめ、連鎖構築に慣れきった上級者は気にならないだろうが、連鎖の役割が確定していない色が一個→二個に増えるだけで初心者はもう頭がいっぱいになる。土台中の種ぷよが不用意に連鎖尾の思考を誘う。なぜここで思考に詰まるかというと、折り返しで必要な連鎖の形と連鎖尾に必要な連鎖の形が全く異なり(上に伸ばす、潜り込ませる)、そもそも二つの要素が画面の両極に位置するからである。さらに、操作の最適化がなされていない初心者は、操作ミスを起こしやすく、一手間違えると芋づる式にどんどん想定外の形を呼ぶことが追い討ちになる。


回避手段が無いわけでは無い






4[最高効率土台は必要ない]
 ぷよぷよときたら、スコアアタックor対人戦である。eスポーツ化に伴い、初めから対人戦を見据えて練習をする人も最近は増えていると思う。この時、初心者が初めにやるべきは土台手順を完成させることではなく、15連鎖以上を組めることではなく、10連鎖以上をすらすら組めるようになることである。先折りGTRでいうと、下画像辺りのフィールドを自由に扱えるようになることだ。

(土台+土台上)

実際、全ての中級者、上級者が土台手順を極めている訳ではなく、それでも中盤戦の駆け引き、本線火力勝負を行っている。ただ、土台が綺麗で効率が良いのに越したことはない。初心者の人は、綺麗な土台を組める人、妥協形移行が上手い人をそれぞれ見つけて参考にしよう。

3[階段積みと頑固な土台]
 前議論の流れから、初心者に教えるべき連鎖として階段積みは不適切だという印象を持ったかもしれない。しかし、階段積みが絶対悪であるかというと、そうとも言い切れない。以下の画像を見てほしい。


(kenny式階段↔連鎖尾自由の階段)

連鎖尾の形がより柔軟になっている。これも階段である。今までのガチガチの階段を組んできた人にとって、これは大きな問題に発展しうる。自由に組むということは、理想形を追わないということだ。よって完成にわずかな違いが生じる可能性が出てくる。



初めて組んだ形がその後の積み(第二折りと連鎖尾)にどのような影響を与えて来るのかを考える必要がある。逆に言えば、初めての形に対応する訓練として、「初めての形」が出現する箇所を限定すると、そこに意識を集中させやすくなる。結果、全体としてのまとまりがよくなり、綺麗な土台の完成率が上がる。

 テーマと少し逸れるが、GTR+カギの構成は形の分かりやすさと積みの柔軟さをある程度両立出来ており、推奨するぷよらーが多い。


(GTR+カギ)

このように、自分で考える必要のないあらかじめ決まっている部分と自分で考える必要のある部分をはっきりと分け、要領よく付き合っていくことが重要である。

3[自力で土台を組めるようになってきた初心者にありがちなこと]
 挟み込み、階段の消え方を理解し、多少アドリブを利かせて土台を組めるようになってきた初心者にありがちなことがある。実は、初心者に限って言えば、挟み込み、階段は、初めにそれぞれ使用が推奨されるべき場所が異なる。種ぷよの概念を想定しなければ、階段よりも挟み込みのほうが左右の連鎖の動きに長けている。暴発も少ない。階段と挟み込み、どちらも連鎖の基本法則ゆえに使いどころを問わないものではあるが、どうせならそれぞれ使用が向いているところに使ってあげた方がよい。

斎藤スペシャルやデアリス(上下の連鎖の接続を可能にする)も挟み込みの一種だが、習得難度が高いのでね。上達するには習得が必須の項目だが、初心者がいきなり練習するメリットは薄く、連鎖に慣れてきた後に個別対応するのが丸いだろう。

[最後に]
 ぷよぷよの連鎖には様々な理解の仕方がある。私一人だけでは知識偏倒であり、多くの偏見を含んでいる可能性がある。そして、執筆途中にどの層に向けて書いているのか迷走した。より多くの有志によって、ぷよぷよのいっそう深い理解を共有していけることを願い、議論を閉じることにする。



 比較的とっつきやすい分野に触れたつもりだが、どうだろう。この記事がぷよぷよキャンプの読者層にマッチするだろうか。ぷよぷよを最初から始める人、ぷよぷよを教える人全員がぷよぷよキャンプを見ているわけではないだろうし、どこに寄稿すればよいのか悩ましい。詳しく書きすぎても文章量を嫌って読者が離れてしまうからなあ。本末転倒じゃない?誰かぷよぷよの教科書素材作ってくれないかな。編集添削は後からいくらでも出来るから。学問にしろ、スポーツにしろ、上手に教える人間がいることで迅速な成長が見込めるのは間違いない。
更新日時:2019/06/08 02:24
(作成日時:2019/06/08 02:23)
コメント( 2 )
こもさわ
こもさわ
6月8日 8時28分

初心者の気持ちを分析するのはとても大事だと思っているので、私にとっては非常にためになる投稿でした。
教科書と言えばくまちょむが執筆したぷよぷよ教本がありましたが…。

Rilium
Rilium
6月8日 9時7分

情報をもっと気軽に、盛んに共有していきたいですね。

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